冷奴に合う日本酒はコレ!おすすめ4選

冷奴

 

シンプルでお手軽、おかずとしても酒肴としても人気の冷奴。日本酒とは最高のパートナー……と思いきや、素材自体が淡白なので案外合わない酒もあります。今回は、そんな冷奴と日本酒のペアリングについて検証していきます。


トッピングやタレも無限にバリエーションがあり、それによって合う酒が変わるため、検証の条件を定めるのが難しいところですが、とりあえず今回は定番のおろし生姜、ネギ、鰹節、醤油で試しました。


目次

味の濃さを合わせる


冷奴と日本酒のペアリングには2種類の方向性があります。


まずは分かりやすく、味の濃さを合わせる方向。ペアリングの基本ですね。ご存知のとおり、冷奴は非常に淡白です。味覚のメインは鰹節と醤油で、豆腐はそれを受け止める下地のようなイメージでしょうか。


そんなあっさりした料理には、大吟醸や普通酒などライトボディのものが最適です。特定名称酒の上では両極の二者ですが、ボディの軽さという点で共通しています。


なお、純米よりはアル添がおすすめです。醸造アルコールが添加されることで、より軽快になり豆腐との相性アップが期待できます。


ちなみに、大吟醸のフルーティな香りは、今回のような純和食とは合わなさそうな気もしますが、これはトッピング次第ですね。大葉や柚子の皮など、香りのある薬味を乗せれば全く問題ありません。今回使ったネギや生姜も、香りのある日本酒にそれなりに寄り添ってくれます。


米の旨味と豆腐の旨味をリンクさせる


もう一つの方向性は、豆腐の旨味にフォーカスした、どっしりと米の旨味を感じるタイプとのペアリング。


酒を口に含んだ瞬間は、明らかに酒が全体の味わいを支配してしまうのですが、中盤以降で豆腐と鰹節のうま味がリンクして三位一体の美味しさを楽しめます。


ただこの場合は、味の濃いしっかりした豆腐であることが求められます。安い豆腐は水っぽいので、うま味の強いタイプの日本酒とは合わないことも多いです。せめて、水切りをしてからいただいてみてください。


温度帯については、冷たい豆腐に合わせて冷酒、もしくは常温と言いたいところですが、このタイプは大抵燗上がりするので、常温以下では酒自体のポテンシャルを引き出せないこともあります。同調性は少しだけ下がりますが、ここはぜひ燗でお試しいただきたいところ。冷→熱の温度差のあるペアリングも案外オツなものですよ。


避けた方がいい要素


いずれのペアリングでも、明確に合わない要素が二つあります。


一つは酒の酸味です。酸が浮いてしまい、おさまりが悪くなります。最近よくあるモダンでジューシーなお酒などはちょっと難しいかもしれません。とはいえ、タレにポン酢醤油を使うなど工夫のしようはあります。


もう一つは古酒・熟成酒特有の焦げたような香り、熟成香。繊細な豆腐に対しては、過剰に主張して悪目立ちしてしまいます。燗をすることで、ある程度熟成香を飛ばすことができますので、そこまでシビアにならなくても大丈夫ですが、少なくともファーストチョイスにはならないですね。


では、ここまでのことを踏まえて、具体的なテイスティングに移りましょう。

 

検証中の様子

検証中の様子

 

東豊国 佳撰

 

 

コスパが良く、日常使いにピッタリな普通酒です。


酸味が弱くボディが軽いので、こりゃ間違いないだろうと思ったら、常温だとどこか噛み合わない。やや熟した含み香があるため、それが今ひとつ調和しないんです。


こういうときは燗です。45~50℃くらいに温めると途端に冷奴と馴染むようになります。燗にしたことで熟成香が飛び、さらに全体の味わいがシームレスにまとまることで、豆腐の味わいと調和するんですね。


奥琵琶湖 にごり原酒

 

 

にごりで原酒、アルコール度数18度の割にはそこまで重たくもなく、シルキーな口当たりゆえに、むしろ飲みやすいお酒です。


そう、この口当たりがポイント。豆腐の滑らかなテクスチャーとスムーズに同調します。その後、ふわっとうま味が重なり合って、酒の濃さを感じさせずにフィニッシュしてくれます。これもまた非常に面白いペアリングですね。


豆腐はどちらかといえば絹ごしのほうがいいかもしれません。


澤の花 純米大吟醸 さら雪 無濾過生原酒

 

 

大吟醸だけあってとても上品ですね。ただ、香りが控えめなところや、うま味の出し方でどこか人懐っこさも感じさせます。そこそこ甘さもありますが、抜けがいいのでしつこさは皆無。


これが豆腐の淡白なテイストとうまく馴染むんですよね。最初に書いた「濃さを合わせる」パターンの典型です。これも、木綿よりも絹ごしのほうがニュアンスがマッチします。


不老泉 山廃 純米酒 旨燗

 

 

不老泉は山廃をはじめ、どれも比較的乳酸の風味が強いんですね。もちろん、それはそれでめちゃくちゃ美味いです。ただ、冷奴が相手となるともう一つ。


その点で、この旨燗は酸味が抑えられていてまろやかなので、大豆のうま味と調和しやすいんです。


当然、これは燗でいただきましょう。温度は45℃くらい。アタックが柔らかいためか、淡白な豆腐の隙間に優しい甘味がスルっと入り込んで味わいを補完してくれます。かと思うと、うま味の部分ではしっかり手を繋いで同調してくれるという、まさに完璧なペアリング。はい、優勝です。

 

まとめ


淡白な味わいに軽快な酒が合うのは当然として、重めのどっしり系の燗でも合うというのは面白かったですね。考えてみれば、冷奴に燗というのは古き良き居酒屋の定番です。やはり、定番には定番なりの理由があるんだなあと実感しました。


なお、冷奴はシンプルな料理だけに、素材の良し悪しが如実に表れます。少々お高くとも、なるべく良質で味の濃い豆腐を水切りして使うと、よりおいしく日本酒をいただけますよ!


 

酒井 辰右衛門

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 国際唎酒師 / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。