【わかむすめ】新谷酒造(山口県)の商品一覧

新谷酒造について

人口約6,000人。一級河川佐波川上流に位置し、水の豊かな山口県山口市徳地の小古祖地区にて「わかむすめ」は造られています。江戸時代には市場が連なる小さいながらも賑やかな町で、豊かな水を活かした稲作・酒造りも盛んで5軒以上の酒蔵がありました。しかし時代と共に酒蔵の数は減り、残されるのは1軒のみ。その最後の1軒が、「わかむすめ」を醸す新谷酒造です。

新谷酒造の創業は1927年と、比較的新しい蔵です。現在、蔵元を務めるのは先代の孫である新谷 義直さん。2006年に高齢のため杜氏が引退した際には、廃業も検討したといいます。しかしこの地に残る酒造りの伝統の灯を消さないため、義直さんは一人でも酒造りを続けることを決意します。

それにあたって始めたのが四季醸造。製造量を増やすための手段と考えられがちな四季醸造に敢えて取り組んだのは、冬季だけに人手をかけて一気に酒造りを行うのではなく、一年を通してゆっくりとしたペースで酒造りができるようにするためでした。

小仕込みの四季醸造としたメリットはもう1つありました。蔵元杜氏となった2007年の時点では酒造りの経験は乏しかった義直さんですが、一年を通して毎月、試行錯誤を重ねながら酒造りに取り組むことで徐々に酒質が向上していったのです。現在でも、総米600kgという小仕込み、四季醸造の設備も活かした厳密な温度管理を行い、手作りで丁寧な酒造りを続けています。

女将である文子さんも2004年に義直さんと結婚して以来、さまざまな形で蔵を支え続けており、新谷酒造を語るうえで欠かすことのできない存在です。経営の苦しかった頃には、結婚前のキャリアを活かして看護師として働きながら、二刀流で蔵人も務めて義直さんの仕事をサポートしてきました。酒質が向上し、それに伴い販売量も増えてきたことに伴って、2015年には酒造りに専念するために看護師の仕事を退職。そして2018年の10月からは、義直さんから杜氏の役職を引き継ぎ、酒造りの中心を担っています。

しかしその後、新谷酒造に新たな困難が訪れます。蔵の梁が損傷し、安全性が確保できないためこれまでの蔵での酒造りができなくなってしまったのです。2018年、造りの最中から移設作業の開始を余儀なくされ、2019年6月に新蔵が完成しました。新蔵でもこれまで通り、四季醸造を継続。麹室も改修し、MJP方式の洗米機と新しい火入れ設備の導入により、これまで以上に透明感がある酒質を実現し、火入れでもフレッシュな酒質が保てるようになりました。

引き続き「どんなに小さくとも、この地で続く酒造りの伝統の灯を消さないこと」を夫婦二人の使命として、さまざまな困難を乗り越えながら、ここでしか醸せない日本酒造りを続けています。

主要銘柄 わかむすめ
創業年 1927年
代表者 新谷 義直
杜氏・醸造責任者 新谷 文子
住所 山口県山口市徳地堀1673-1
URL https://wakamusume.com/