焼肉(カルビ)に合う日本酒はコレ!おすすめ5選

老若男女、みんな大好きな焼肉。中でも、口に入れた瞬間にジューシーな旨味が広がるカルビは、とくに人気のメニューですよね。今回はこのカルビを題材に日本酒とのペアリングを探ります。

なお、日本では主に牛バラ肉のことをカルビと呼びます。NHKで某5歳児が「カルビはメニュー名であって部位名ではない」とか言ってましたが、いいんです!細かいことは。とにかくここでは牛バラを指すってことでご了承ください。

タレはどこにでも売っているモランボンの「ジャン」を使用。あわせて塩+レモンでも検証しました。

 

カルビに合う日本酒を考える

検証中の様子

カルビと日本酒を合わせる際に、大きなポイントになるのは「脂」です。この強い脂を活かすのか、それとも流すのか。その扱い次第で合う酒が変わってきます。

 

①同調させるペアリング

まず、基本となる同調の方向で考えてみましょう。

脂も強けりゃ肉の味も強いので、かなり腰のある味の強いタイプで対抗するのがもっともオーソドックスな手段。どっしりした山廃や熟成酒・古酒などはわかりやすいところです。

また、白米に肉をワンバンさせるイメージで、お米感の強いお酒を選ぶのも面白いでしょう。どぶろく、濁り、または低精白などですね。

いずれの方法も、刺激のある酸を感じる酒だと、タレの場合にはあまり合いません。酸には冷やして美味しい冷旨酸(クエン酸、リンゴ酸など)と、温めて美味しい温旨酸(乳酸、コハク酸など)がありますが、前者は脂や牛肉の風味と馴染みづらいのです。

検証中の様子

酸が弱いということは、相対的に甘味が目立ってくるパターンが多いと思います。甘味と脂肪はとても相性がいいので、その意味でも冷旨酸は控えめなほうがいいんですね。

判断が難しい場合は、フルーティ系を避けて燗に向くどっしり系を選べば、おのずと温旨酸がメインになるので心配いりませんよ。

なお、タレではなく塩+レモンでいただく分にはそれなりに酸があっても問題ありません。レモンの酸味が手をつないでくれ、イメージとしてはレモンの補助のような形となってペアリングしてくれます。

さらにレモンの効果で肉のボリュームが軽く感じられるようになるので、そのぶん合わせる酒の幅は広がります。とはいえ、ある程度のボディの太さは必要です。線の細い繊細なタイプだといずれにしても難しいですね。

 

②流す(ウォッシュ)ペアリング

もう一つの方向性が「ウォッシュ」。読んで字のごとく、口中の脂を流してすっきりさせるペアリングの手法です。

この場合は逆に酸の存在が重要になります。加えて苦味も強めのほうがキレの良さに繋がります。「わりとジューシーだね」くらいのレベルだとあまりウォッシュ効果は感じられないかもしれません。むしろ振り切った酸の強さが必要です。

それでは具体的なペアリング例を挙げていきます。

 

金鼓 山廃本醸造 火入原酒 2003年醸造

 

20年近く寝かせた完全なる古酒ですが本醸造ということもあり、そこまで重すぎずカルビに対してはちょうどいい強度です。

古酒独特の焦げた風味が実際のカルビの焦げとリンク。くわえて、インパクトが強いわりに酸は控えめなのでお手本のように合います。

 

不老泉 山廃特別純米 原酒 参年熟成

 

不老泉の大定番。これも原酒ならではのパンチの強さとボディの太さで牛肉との相性は抜群。

山廃なのでそこそこ酸も強いんですが、温旨酸系の乳酸がメインなので尖った感じはなく、問題なくカルビに同調してくれます。熟成による複雑な味わいも牛肉の風味と上手く融合するための要素となっています。

 

華鳩 六段仕込 貴醸酒 2015BY

 

貴醸酒ということで、当然のごとく極甘ですが、それがいいんです。タレの味と非常にマッチします。そういえばこのお酒、タレ味の焼き鳥でも活躍しましたね。考え方は全く同じです。

→焼き鳥(タレ)に合う日本酒はコレ!おすすめ5選

若干お酒のほうが強いので、タレをたっぷりつけるか、ほんの少し割り水していただきましょう。

 

舞美人 山廃純米 SanQ タンクの底 (SAKE Street限定)

 

ウォッシュを狙うなら福井の誇る変態酒(褒めてます)、舞美人を。

まさに振り切った酸の強さで脂のクドさを完全に洗い流してくれます。熱燗にすると少し酸に丸みが出ますが、温度によって脂を溶解してくれるので、冷やとはまた少しニュアンスの違うペアリングになります。

タレの場合はバシっと切る方向ですが、塩+レモンだと同調性も楽しめるのでさらにおすすめです。

 

原田 純米酒 山田錦

 

日本酒のフルーティな吟醸香って、実は牛肉および脂と相性が良いのです。

くわえて、単純にタレのフルーツ感とリンクしますし、塩+レモンであればレモンに重なりますので、その点でも良いペアリングを期待できます。

しかしフルーティな酒って大体はボディが弱いので、通常はそこで肉に負けてしまうんですね。ところがこのお酒はちょっと特殊。精米歩合が80%と低精白なのでボリュームもあってお米感が強いんですが、不思議とフルーティな香りも内包しているんです。

やや酸がある分、タレよりも塩+レモンのほうがより合います。

 

まとめ

事前にある程度ボディの強さは必要だろうと予想していましたが、蓋を開けてみれば思っていた以上にがっしりしたタイプじゃないとペアリングしづらいことがわかりました。とにかくポイントは「がっしり、どっしり、酸は控えめ」ですね。

そこまでのパワーがない酒であれば、塩+レモンでいただきましょう。同調する要素も増えてペアリングの難易度が下がります。

ビールやハイボールが焼肉に合うのは当たり前ですが、同調の妙を味わうなら日本酒です!ぜひお試しあれ。

 

 

酒井 辰右衛門

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。