SAKE Streetの仕入れのこだわり

SAKE Street店舗の冷蔵陳列棚

2019年11月にオープンしたSAKE Streetも4年目を迎え、現在は29の酒蔵さんと取引させていただいています。今回は、当店はほかの酒販店とどんなところが違うのか、仕入れの観点からお話したいと思います。

目次

卸を介さず、酒蔵と直接取引する理由

SAKE Streetでは、従来、酒販店と酒蔵のあいだを仲介していた「卸(おろし)売業者」を介さず、すべての酒蔵さんから直接お酒を仕入れています

理由は二つあります。ひとつは、直接取引できるほうが、商流やコミュニケーションがシンプルになるからです。例えば、お酒の味わいについて意見を伝えたり、オリジナル商品などの企画を提案したりするときに、「窓口から関係者に話を通す」という手間はなるべく排除したほうが、スムーズな意思の疎通が可能になります。

もうひとつは、少し極端な言い方にもなりますが、現代の酒販店にとって、卸売業者の必要性が減っていると思うからです。かつては、酒屋が新しいお酒を取り扱いたいとなると、卸売業者に「何かいいお酒ありませんか」と相談して情報提供をしてもらう、ということも多かったと思います。しかし、今はインターネットなどに情報があふれているので、自分でいい酒蔵やお酒を見つけることができます。

もちろん、不特定多数の小売店に卸したいと考えている大規模な酒造メーカーにとって、たくさんの小売店とネットワークがある卸売業者はとても意義のある存在だと思います。しかし、当店が取引している酒蔵さんはそこまで生産量が多くないところが多いですし、当店としても、上記のような理由で卸売業者を介するメリットが少ないというのが現状です。

お取引先の酒蔵を選ぶ3つの基準

SAKE Street店舗、レジ前

「選ぶ」と言うと偉そうな言い方にもなってしまうのですが、店舗スペースの制約もあるため、一定程度の基準を設けてお取引させていただく酒蔵さんを検討させていただいています。あまり細かい基準は設けていませんが、お取引したい酒蔵さんの基準は3つあります。

 

①. メンバー全員が「美味しい」と思うこと

やはり、「美味しい」と思えることは大切です。しかし、僕が美味しいと思っても、例えば実際に販売する店長のぽんさんが美味しいと思えないなら、熱量を持っておすすめすることはできません。スタッフのみんなに意見を聞いて、全員が「美味しい」と言ったところとお取引するように決めています。

 

②. 取扱店がそこまで多くないこと

あくまで肌感覚になってしまいますが、東京の酒販店の取扱がそこまで多くないということもポイントです。SAKE Streetが超有名な銘柄を取り扱う付加価値はあまりなく、まだそこまで有名でないお酒を売ることが当店の存在価値だと考えているからです。

取扱が始まってから有名になった酒蔵さんはもちろんあります。

「天美」(山口県・長州酒造)は、共通の知人である飲食店「〼kuramae」さんが紹介してくれたことでお取引が始まりましたが、当時はまだ杜氏の藤岡さんが酒蔵に移ったばかりの無名の酒蔵でした。藤岡さんが、当店までわざわざ足を運んで、こちらの質問にすべて誠実に答えてくれたのをよく覚えています。

「飛鸞」(長崎県・森酒造場)は、知り合いから誘われて参加したオンラインセミナーで、たまたま出会った酒蔵さんです。いただいた小瓶3本セットがとても美味しく、森さんのお話にも好感が持てたので、後日蔵にお邪魔して取引が始まりました。

今となってはどちらも人気銘柄ですが、ご縁があってつながることができた酒蔵さんだと思っています。

 

③. 責任者(決裁者)と直接コミュニケーションができること

蔵元や杜氏などの責任者(決裁者)と直接コミュニケーションできる酒蔵と取引させていただくようにしています。というのも、間に人が入ると、話がなかなか進まなかったり、こちらの質問に答えられなかったりというデメリットが起こり得るからです。

そして、その責任者が良い方であることも大切です。お酒が美味しいのはもちろん、造る人たちの人柄も重要な要素であり、取引を決めるときは、いつも「あなたについていきます!」という気持ちでお付き合いを始めます。

なぜ、酒ストとお付き合いしていただけるのか?

SAK Street店舗の外観

とても素敵な酒蔵さんとばかりお取引させていただいていますが、なぜ当店とお付き合いをしていただけるのか、自分なりにSAKE Streetの良いところを考えてみようと思います。

 

①. お酒に詳しいメンバーがそろっている

SAKE Streetのメンバーはみんなお酒に詳しく、酒質はもちろん、造り手の人となりやお酒に込められた想いまで説明できる体制が整っています。自分たちがきちんと「伝える」という役割を果たすことで、酒蔵さんのブランド価値を向上できるよう心掛けています。

ちなみに、今となっては僕よりも取扱商品に詳しいぽん店長ですが、実は、入ったばかりのころは日本酒に対する専門的な知識はあまりありませんでした。そのとき僕が伝えたのは、「やってはいけない3つのこと」。①嘘をつかない、②知ったかぶりをしない、③話しかけすぎないということだけでした。

彼女はお酒が大好きで、勉強熱心なので、覚えるのも早く、今ではすっかりお客さんから信頼されています。

 

②. メディアで情報発信をしている

SAKE Streetは、WEBメディアも運営していますが、これが取引先の酒蔵さんからよく褒めていただけます。オンライン上の日本酒情報の質を向上させ、業界が抱える課題なども取り扱うことで、日本酒コミュニティに貢献するメディアを目指していますが、実際に酒造りをしている方々から「あの記事、良かったですよ」とメッセージをいただけるのはありがたいことです。

僕はもともと金融業界の出身で、酒造りとはまったく関係ない世界から参入したので、オープン当初は酒蔵さんに信頼していただくのに苦労しました。メディアできちんと情報を発信していることによって得られた信頼は大きいと思います。

SNSなどでの情報発信も継続して行っているので、「酒ストがきっかけで銘柄を知ってもらえました」と感謝されることもあります。店舗では角打ちで少しずつ飲めるので、「酒ストで飲んで美味しかったから」という理由でお客さんとのご縁がつながることもあるようです。

自分のお店の良いところを書いてみましたが、悪いところもひとつ書いておきます。現状、お店が狭くバックヤードがないので、「もっと発注したいな」と思っているお酒を置けるキャパシティが足りていません。これについては、外部倉庫の活用などを視野に入れつつ、今後改善していきたいと考えています。

最後に 

SAK Street店舗、常温陳列棚

たまには「SAKE Streetの良いところ」を自分たちでも発信してみよう、と考えて記事にまとめてみましたが、結論として、たくさんの素敵な酒蔵さんとお取引させていただいているというのが一番の良いところだと思っています。おかげさまで本当に美味しいお酒が揃ったお店になっているので、ぜひ店頭やオンラインなどでこれらのお酒を味わっていただけるとうれしいです。