サーモンの刺身に合う日本酒はコレ!おすすめ4選

寿司ネタでは上位の人気を誇るサーモン。酒の肴としていただく機会も多いと思いますが、相性の良い日本酒について踏み込んで考えることって案外少ないですよね(サーモン専用日本酒なんてのもありますが)。

今回はサーモンの特徴を踏まえ、いくつかの方向性からペアリングする日本酒を探っていきます。

※市場では生食可能で養殖されたものをサーモン、加熱調理推奨の天然モノを鮭と呼んで区別しています。ここでは生食を前提としていますのでサーモンで統一しています。

 

サーモントラウトとアトランティックサーモンの違い

現在、一般的に出回っている生食用のサーモンは、サーモントラウトアトランティックサーモンがほとんどです。

実はサーモントラウトはニジマスの改良種であって、鮭ではないんですよ。だからといって偽物だ!などと言うつもりはありません。美味しいんだから細かいことは気にしない、それが筆者のスタンスなので。

ちなみにアトランティックサーモンはやや身が柔らかく、味がしっかりした傾向にあります。脂はサーモントラウトのほうが比較的多いです。

ただ、好みもありますし、状態や部位などによっても味わいは変わります。ペアリングを考えるにあたっては、両者の差についてあまり厳密に追及する必要はないでしょう。

 

相性のいいお酒のタイプ

サーモンの刺身と言えば、やはり一番の特徴は脂の多さですよね。しかし、そのイメージに引きずられて安易にパワフルな酒を選ぶと失敗します。

脂が多いからって、身の味も濃いかと言えば決してそんなことはなく、あくまで淡白で薄味。つまりベースになる身には味の要素が少なく、それなりに隙間があるのです。それを念頭に置くと必然的にボディが軽く、あまりボリュームのないタイプが候補となります。

また、甘味も重要です。脂肪と甘味は非常に相性がいいんですよ。すき焼きや豚の角煮なんかを思い出していただくと分かりやすいかもしれません。脂っこい食材・料理には、そこそこ甘い日本酒を合わせる。これは日本酒ペアリングのセオリーの一つなので、覚えておいて損はないですよ。

逆に甘味の少ないドライなタイプで脂を流すという手もなくはないですが、甘さと脂の同調がないと、どこか物足りなさが残ってしまうので、積極的にはおすすめしません。

なお、脂でしつこくなった口の中を流したいのであれば、酸のしっかりしたタイプを選ぶのが定石ですが、サーモンの場合、淡白な身が酒に負けてしまうことが少なくありません。

その場合は、醤油ではなく、塩とレモン果汁であればバランスが取れます。

最後になってしまいましたが、忘れてはいけないのがとろりとしたテクスチャー(食感)。これも重要な要素です。食感が合うと同調の度合いがまるで変わってきます。がっしりと硬質なタイプや発泡系はイマイチ。なるべく口当たりの柔らかい、まろやかなものを選びましょう。ぬるめに燗付けするのもいいですね。

どうやら軽くて柔らかくて、甘いタイプが合いそうだとわかってきました。

では、実際のところどうだったのか。以下におすすめの銘柄を紹介していきます。

 

残草蓬莱 純米吟醸 Queeen 槽場直結生原酒

 

残草蓬莱の低アルコール商品です。「Queeen(クイーン)」の名が示すとおり、度数は12%とライトな飲み口。

通常は冷やして飲むことが多い酒ですが、サーモンに合わせると香りが若干邪魔になります。そこで、ここはちょっと捻って燗冷ましでいってみましょう。一旦55℃くらいまで上げてから35℃くらいまで冷まし、あえて香りを飛ばします。これによってまろやかさも加わり、サーモンと抜群の相性になりました。
 

流輝 純米吟醸 桃色 無濾過生

 

こちらもアルコール度数低め、13%のお酒です。ボリュームの軽さは言うまでもないですが、それに加えてすっきりした酸がほどよく脂を流してくれます。

見た目からして派手そうなイメージですが、意外にも香りが立つタイプではないのでサーモンともマッチするのです。さらに、うすにごりのシルキーな口当たりがサーモンのテクスチャーと調和し、口内で違和感なく馴染んでくれます。

 

不老泉 上撰

 

熱心な読者の方は「またか!」とお思いでしょう。もはや毎回この酒を売るために記事を書いているんじゃないかと疑われるレベル。

でもね、考えてみてください。この酒は口当たりがスムーズでボディが軽く、そこそこ甘味がある。って、上で書いた条件とほぼドンピシャじゃないですか!ですから紹介しないわけにはいかないのです。

より口当たりがマイルドになるぬる燗でぜひお試しあれ。

 

美寿々 本醸造

 

口当たりの柔らかさと軽やかさならこちらも負けていません。アルコール添加の良いところを存分に味わえる一本。リーズナブルな日常酒としても非常に優秀です。

不老泉 上撰に比べると、熟成感がなく味わいも澄んでいますが、そこは好みですね。こちらも軽く燗をすると、テクスチャーのシンクロ率がさらに高まります。

 

まとめ

低アルコールのお酒は、フルーティなイメージもあって食中酒として飲まれることは少ないかもしれません。しかし、そのボディの軽さや甘味から、意外にもサーモンとは相性がいいのです。

秋口の暑い日を迎え撃つ!アルコール度数低めの軽やかなお酒 | SAKE Street Store

(…土田 研究醸造#13も試せばよかった!恐らく合いますよこれ。)

ちなみに、ああ見えてサーモンは白身魚に分類されます。そこからもボディの軽さが大事なポイントになることはお分かりいただけるでしょう。

実際、真鯛などの白身魚とはペアリングにおける共通点がかなりあるので、下記記事もぜひ参考にしてみてください。

真鯛(白身魚)の刺身に合う日本酒4選 | SAKE Street Store

 

酒井 辰右衛門

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。