真鯛(白身魚)の刺身に合う日本酒4選

東の鮪、西の鯛と言われるように、東日本ではまぐろなどの赤身魚が好まれるのに対し、西日本では鯛などの白身魚がよく食べられていると言われます。
特に、真鯛は「魚の王様」とも呼ばれる主役級の存在です。

さて、刺身が日本酒の肴として定番中の定番とされているにも関わらず、実は組み合わせによっては合わないケースもあることは、これまでの記事でもお伝えしてきました。
まぐろの刺身に合う日本酒5選
鰹の刺身・たたきに合う日本酒4選

上記2つの記事では赤身魚について深掘りしていますが、今回は白身魚の刺身と日本酒の相性について解説します。
なかでも代表的な真鯛を題材にして詳しく述べていきます。

真鯛に合う日本酒のタイプ

真鯛の刺身のイメージ写真

いきなり結論から言ってしまうと、白身魚には圧倒的に「淡麗辛口」の酒が合います。
刺身の味わい自体が繊細で淡白なため、同じように軽くて淡い味わいの日本酒が同調するんですね。逆にどっしりと旨みの濃いタイプは明らかに酒の味が主張しすぎて調和しません。

一方、白身魚の場合にはフルーティなタイプの酒や、少し甘味のある酒も合わせることができます。

赤身魚に比べて鉄分と脂質が少ない白身魚は生臭さが出づらく、フルーティな香りがマイナスに働きにくいのです。
※魚の脂質は時間がたって酸化することで臭みの一因になります。

また、白身魚の持つほのかな甘味と旨味は、日本酒の甘味と同調させることも可能です。
濃くて甘味の強い酒になるとさすがに合わなくなりますが、そこまでシビアに甘味の多少を気にする必要はありません。

過去の記事で解説した、赤身魚の場合にはペアリングのネックになっていた要素も、白身魚であれば対応できることがあるんですね。

なお、今回は真鯛を例に合わせるお酒を選んでいますが、同じ白身魚でもノドグロやカレイの縁側、サーモンなど脂の多い魚の場合は、あえて淡麗辛口から離れて、ジューシーで酸の強いタイプを選ぶのも面白いですよ。
レモンをかけるのと同様に脂を流して口中をすっきりさせる効果を期待できます。

調味料を工夫する

調味料のイメージ写真

言うまでもなく、最もスタンダードな調味料は醤油とわさびです。ただ、もう少し選択肢を増やすことで、合わせられる日本酒の幅も広がります。

1.塩

実は醤油って白身魚に対しては味が強すぎるんですよね。べったりつけると醤油の味しかせず、繊細な身の美味しさをスポイルすることにもなりかねません。

そこで有効なのが塩です。醤油と違って旨味がない分、白身魚の甘味と旨味をしっかり引き立てることができます。できるなら岩塩や藻塩など深みのあるものを使うとより美味しくいただけます。

2.レモン

レモンを少し絞るとクエン酸が足されることで、日本酒の酸味とリンクしてより同調性が増します。特にフルーティ系や酸の強いタイプの酒と合わせる場合はおすすめです。

レモン単体でもいいですが、醤油と1:1で混ぜてレモン醤油にしたり、塩と組み合わせて塩レモンにしてもいいですね。

3.オリーブオイル/ゴマ油

淡白な身に油をつけることで旨みとコクを加えることができます。魚の臭みをマスキングする効果も。これによって、淡麗辛口だけでなくもう少し厚みのある日本酒でも合わせやすくなります。

もちろん塩か醤油と合わせてお使いください。オリーブオイルの場合はレモンを加えればカルパッチョにもなりますね。

風の森 ALPHA Type2

ちょっとお値段が張りますが、精米歩合22%ということを考えればむしろリーズナブルです。シルキーでほどよく華やか。ともすると香りが邪魔になるかな?と一瞬不安がよぎりますが、大丈夫。刺身に塩を少しつけて食べてみてください。酒の軽やかな味わいにばっちりハマります。レモンやオリーブオイルを足しても楽しいですよ。

ちなみに、同じ風の森の秋津穂(50%精米)はこれに比べると少し厚みがありますが、基本的には同じ方向でのペアリングができますので、価格を抑えたいならこちらもアリです!

天美 純米吟醸 生原酒

立ち香はマスカットのような爽やかさ。比較的フルーティなタイプですが、酸が控えめで甘すぎないので、白身魚の味わいに対して抜群の相性を見せます。

繊細な真鯛に対しては酒がほんの少し強いんですが、オリーブオイルをつけると真鯛の旨味がふくよかになって完璧に同調します。レモンをほんの少し絞っても美味しいですよ。

美寿々 本醸造

飲み疲れしない日常酒で、どんなアテにも無難に合う懐の深さがあります。素直にわさび醤油で食べるならこれが一番。程よい甘みが白身魚の甘さと見事に調和します。少しだけアルコール感のある香りも刺身の生臭さをマスキングしてくれます。

なお、口当たりが柔らかいため、よく冷やすことで白身魚のすっきりした味わいによりマッチします。

不老泉 上撰

カニの回に続いての登場です。普通酒ならではの軽やかさと柔らかい飲み口が特徴。今回20本以上試した中でもトップクラスに相性が良かったです。

スタンダードなわさび醬油でもぴったりですし、塩・レモンでもまた違った美味しさを楽しめます。ふんわりした味わいの酒に酸が加わることで輪郭がはっきりして、ぐっと締まります。

で、面白いのがごま油+醤油なんです。ゴマの香ばしさが山廃独特のクセと相まって最高の調和を見せます。これは是非やってみてほしいなあ。

まとめ

今回20本ほど検証してみて、真鯛に合う酒のパターンは大きく二つに分けられることがわかりました。

まず、普通にわさび醤油で食べるならアルコール添加の軽快な日常酒がベスト。そして、塩、またはレモン、オリーブオイルをつけるなら、軽めのフルーティ系吟醸酒がよく合います

実のところ、塩、レモン、オリーブオイルをうまく使えば、今回チョイスした銘柄以外でも冷酒向けの軽やかな純米吟醸酒であればかなり幅広く合わせられました。
事前に予想していた以上にフルーティ系と合わせた際の生臭みが感じられなかったんです。

塩、レモン、オリーブオイルなんて、白身魚の刺身のお供としては馴染みがないかもしれませんが、もしフルーティなお酒ありきで考えるなら、醤油よりも断然美味しくいただけると思います。
騙されたと思って一度お試しください。

 

酒井 辰右衛門

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。