石田屋二左衛門株式会社が、福井県吉田郡永平寺町に観光施設「ESHIKOTO」を2022年6月17日(金)にオープンしました。同社は国内外で高い人気と知名度を誇る日本酒ブランド『黒龍』などを手掛ける黒龍酒造の親会社です。
約3万坪の広大な敷地のうち、今回は約1万坪にあたる部分がオープン。酒や食を楽しむ「酒樂棟(しゅらくとう)」と、awa酒(※)貯蔵セラーやイベントスペースを備えた「臥龍棟(がりゅうとう)」が開業しました。
今後さらに数年をかけて醸造施設、醸造ラボ、オーベルジュなども建設されます。「大人のための観光施設」なので、利用できるのは20歳以上のみ。ペットの同伴も不可です。
オープンに先駆けておこなわれたメディアツアーに参加しました。
※厳格な品質基準と第三者機関での検査をクリアした、瓶内2次発酵方式のスパークリング日本酒
「ESHIKOTO」で福井の魅力を体感する
観光施設の名称である「ESHIKOTO」は、黒龍酒造が手掛けるawa酒ブランドの名称と同じです。「ESHI=えし」は「良し」を表す古い言葉で、「ESHIKOTO=良しこと=良いこと」の意味を持ちます。また、逆から読むと「とこしえ=永久」になることから「永久の豊かな時間」という想いも込められています。
ESHIKOTOは自然と共生する美しい土地で福井県にとっての「えしこと」を具現化し、訪れた人に福井県の魅力を体感していただくための観光施設です。
今回オープンした臥龍棟と酒樂棟をご紹介します。
臥龍棟(がりゅうとう)
臥龍棟は約230坪(756㎡)の敷地に、awa酒の貯蔵セラーやイベントスペースを備えています。天井の高さは約11メートルで、教会を彷彿とさせるフォルムが美しい空間です。洗練されたデザインに木のぬくもりがプラスされ、あたたかみも感じられます。
2年後に創業220年を迎える黒龍酒造とほぼ同じ、樹齢200年の杉を使った一本木のカウンターも存在感を放っていました。
同じ空間にある貯蔵セラー「臥龍房」の壁や床には、福井県の希少な石材である笏谷石(しゃくだにいし)を使用。セラーを支える柱には、地元・永平寺の古民家の梁などを再利用しています。
臥龍房は特別な日を除いて一般公開されません。約8,000本のawa酒が眠っている様子は、圧巻の一言。ここでしかお目にかかれない美術品も展示されていて、厳かな雰囲気が漂っていました。
酒樂棟(しゅらくとう)
レストランと酒ショップが入る「酒樂棟」から臨む景色は、まるで絵画のようです。太陽が輝く晴れの日も、霧が出る雨の日も、季節や天気によって変化する永平寺の美しさを感じられます。
レストラン「Apéro & Pâtisserie acoya」
「acoya」はアペロゾーンとパティスリーゾーンにわかれています。アペロゾーンの壁には黒、パティスリーゾーンの壁には白の越前和紙が使用され、圧迫感のないゾーニングです。
アペロゾーンで提供されるモーニングやランチは御膳スタイルで、どちらもドリンクバー付き。フランス料理をベースに、福井県の食材や調味料をふんだんに使用した創作料理が楽しめます。ドリンクバーはもちろん、黒龍酒造のお酒がメインです。お酒に合うおつまみも用意されています。
パティスリーゾーンでは酒粕などを利用した焼き菓子やパフェを販売します。一部商品はテイクアウトも可能です。
今回は黒龍酒造の梅酒『ESHIKOTO 梅酒13』をつくる際に漬け込んだ黄金梅を贅沢に使用した『ESHIKOTO 黄金梅 CAKE』をいただきました。
料理はすべて、福井県の伝統工芸品である越前焼や越前漆器で提供されます。
石田屋酒ショップ
「acoya」と同じフロアにある「石田屋酒ショップ」は、黒龍酒造のお酒と地元の伝統工芸品を扱うお店です。
入ってすぐ目に飛び込んでくる越前箪笥(えちぜんたんす)には地元のアーティストが制作した酒器が展示され、気に入ったものがあれば購入できます。
ESHIKOTO店でしか購入できない貴重なお酒が、常時15種類以上も販売されています。購入前の試飲も可能で、ゆくゆくはバーとして運営する構想もあるそうです。
美しい永平寺の自然に溶け込む、大人のための観光施設
ただお酒を製造・販売するだけではなく、福井県の魅力を国内外に向けて発信するために約10年の構想を経てオープンした「ESHIKOTO」。
美しい自然のなかで、食やお酒、伝統工芸など、さまざまな側面から福井県の「えしこと」を体感できる大人のための観光施設です。
今回は約3万坪の敷地のうち、1万坪がオープンしたにすぎません。今後どのように変化し、進化していくのか。ESHIKOTOの最終形態に期待が高まります。
酒蔵を中心とした観光施設の最先端事例として、学びの多い訪問となりました。
【ESHIKOTO】施設情報