なぜ「すごい!!アル添」は生まれたのか。開発のウラ側

 

2022年2月12日に「すごい!!アル添」というセット商品の販売を開始しました。


実際に出来上がったお酒を口にするまでは不安でしたが、非常に美味しく仕上がりました。SAKE Streetとして自信を持ってすすめられる商品です。開発にご協力いただいた菊の司酒造さん(岩手県盛岡市)、そして平井兄弟(元・菊の司酒造蔵元)に感謝です。

FacebookやTwitterなどのSNSにおいては、「マニアックすぎる」「これは果たして売れるのか…」などの声も聞かれましたが、本当にその通りだと思います。なぜ、このようなマニアックな商品を作ったのかについて説明させていただきます。

 

すごい!アル添を企画した意図

「すごい!!アル添」は、アルコールを添加した日本酒(通称:アル添酒)の良さを広めたいという想いから開発された、マニアックかつ当社のエゴの産物のような商品です。

私の今までの日本酒ライフにおいて、アル添に対して悪い先入観を持たれている方は少なくないと感じています。飲み会の場で「普通酒や本醸造を飲まない」と公言する方に何度か会ったこともありますし、SAKE Streetの店舗でも純米酒を求める声が多いのは事実です。

世に流通するアル添酒すべてを絶賛しているわけではありません。でも本当に美味しいアル添酒は世の中にたくさんあり、ネガティブな先入観でハナからアル添を拒絶するのは、おせっかいかもしれませんがもったいないと思うのです。日本酒を扱う酒屋のひとりとして、良いものは良いと伝えていくのが責務と考えており、アル添酒の良い部分を分かりやすく提示し、アル添酒を飲むきっかけとなる商品を作りたいと思ったことが「すごい!!アル添」を企画した理由です。

 

アル添酒へのネガティブなイメージ

アル添についての悪いイメージは以下に大別できるかと思います。

①生産量を安価に増やすために使われている(アル添はかさ増しの道具)
②悪酔いする、頭痛がする(アル添は健康に悪影響)

上記のアル添に対する悪いイメージは、三増酒(第二次世界大戦後、生産量を増やすことを目的に、純米酒に醸造アルコール、甘味料、酸味料などを加えたお酒)が存在していた時代の影響が大きいと考えられます。

漫画や媒体などの影響も少なくないと思います。例えば、累計1億3000万冊も出版された人気漫画「美味しんぼ」では、おそらく三増酒を背景として、アル添酒に対してネガティブな描写をしている場面が何度か登場します。

画像出典:Amazon

「糖類こそ混ぜないが、アルコールと水で薄めた、本物とはほど遠い酒を”本醸造酒”と呼ぶとはな……しかも、こんなニセモノの酒を、そうと気がつきもせずに本物だと思って飲んでいるとは…………」

「だますほうもだまされるほうも、最低だ。」

「本当に、日本人て醜くて愚かだわ。」

引用:雁屋哲・作『美味しんぼ(54)日本酒の実力』(1996, 小学館)

 

純米酒はアル添酒よりも優れていると明示しているような書籍も多く存在します(その多くの原著はかなり以前に書かれたものではありますが)。それらを情報源とした人々により、飲み会の場などで友人・同僚・後輩などへ喧伝され、「アルコール添加の日本酒はなんとなく良くなさそうだな」という印象を持つ方々が量産されてきたというのが、私の仮説です。(被害妄想かもしれませんが)

低コストで生産量を増やすために、アルコール添加された日本酒が出回っていた時代はたしかにありました。しかし現代におけるアルコール添加は、香り高さの増強やアルコール由来のキレをもたらすための立派な製造技術

必ずしもすべてのアル添酒が素晴らしいと言っているわけではありませんが、純米酒では実現の難しい香味特性を持った、美味しいアル添酒があることは事実です。その美味しさを体感し、アル添の技術を追体験できるのが「すごい!!アル添」の特徴となっております。

 

「すごい!!アル添」の商品内容

商品の内容は以下のとおりです。

  1. 1. 純米酒(アルコール度数14%)
  2. 2. アル添酒(アルコール度数17%)
  3. 3. 米焼酎(アルコール度数30%)
  4. 4. HARIOショットグラス(目盛り付き)
  5. 5. スポイト
  6. 6. 解説・ブレンドレシピを掲載したパンフレット

これらがすべてセットになった商品になっております。

  • 純米酒はアルコール度数14度とやや低め。穏やかで豊かな甘味で口当たり良く、ほのかに柑橘を思わせる酸味が心地よく仕上がっています

  • 米焼酎はアルコール度数30度。アル添酒を製造する工程で実際に添加した米焼酎です。穏やかなフルーツ香。30度とは思えないほどスッキリとした、キレのよい米焼酎です

  • アル添酒はアルコール度数17度。製造工程は上記の純米酒と途中まで全く一緒です。もろみの段階で、同梱した米焼酎をブレンドし香味を特徴づけています。トロピカルな立ち香が印象的。豊潤な甘味が口いっぱいに広がり、バランス良く重層的な酸味と苦味が心地よく素晴らしいキレ味をもたらします

  • パンフレットでは、アル添の解説コラムなどを掲載。またブレンドレシピ、並びにメモリ付のショットグラスとスポイトを用意しており、ご自身で純米酒に米焼酎を添加(セルフ「アル添」)してアル添の効果を追体験できるようになっております。本当に少し加えただけで、香味がガラっと変わる様はとても面白く、アル添の技術の繊細さを感じ取れる内容となっています。

この内容で送料込み6480円(税込)です。正直自分でもかなりお買い得な商品だと思っています。アル添を避けてきた方にも、ぜひ試していただきたいです。

図の「アルコール添加」の工程を疑似体験できます

 

浅草橋に来てください、本当に美味しいアル添酒を飲ませてあげますよ

良いアル添酒は本当に美味しいです。もし、この記事を読んで「アル添酒を避けてきたな」と感じている方がいたら、ぜひSAKE Streetへお越しいただくか、連絡をください。心から美味しいと思うアル添酒をおすすめさせていただきます。

そして「すごい!!アル添」も非常に美味しいアル添酒として仕上がっておりますので、お試しいただけると幸いです!