【酒蔵だより:松井酒造】年30回参加!日本酒イベントの醍醐味とは

蔵元・松井治右衛門さん

多くの酒蔵が集まる日本酒イベントは、多彩なお酒を飲み比べる場として参加者にもうれしいものですが、酒蔵にとっても新しい出会いを見つける貴重な機会となります。そんな日本酒イベントに積極的に参加しているのが、「神蔵」を醸す京都府・松井酒造です。今回の酒蔵だよりでは、蔵元・松井治右衛門さんが日本酒イベントに積極的に参加する理由を綴ってくれました。

目次

イベントが次々と復活

CRAFT SAKE WEEK会場

パンデミックの時代には軒並み中止になっていた酒類関係のイベントも、徐々に復活し始め、最近では多くのイベントを楽しめるようになってきました。今や、毎週末、日本のどこかでお酒のイベントが開催されているといっても過言ではない状況です。

私たち松井酒造はコロナ禍以前から日本酒イベントには積極的に参加してきたので、この復活はうれしい限りです。私たちが他の酒蔵の皆さんと比べて特別多くイベントに参加しているとは思わないのですが、少しずつ経験値を貯めていますので、ここに記したいと思います。

この1年間、松井酒造が参加した日本酒イベントは大小含めて31件ありました。延べ43日間はイベントに出店していたことになります。数えてみると結構多いなという印象ですが、私も含め、蔵の皆で手分けをして参加しています。今回はその中でも大規模なイベントについてのおおまかな感想を書いてみます。


OSAKA-JO SAKE SQUARE

大阪のFMラジオ局「FM802」さん、名古屋のFMラジオ局「ZIP-FM」さん、そして大阪府酒造組合の共催イベントで、近隣の酒造会社にもお声がけをいただき、昨年初めて出店することができました。

FMラジオ局が共催するということで、お酒と音楽がマッチした楽しいイベントでした。集客も良く、継続イベントになるといいなと思っていたら、来る10月に2024年度の開催が決定しました。近隣の皆様、ぜひJR大阪城公園駅前広場にお越しください!


日本酒ゴーアラウンド

10月1日の日本酒の日に合わせて全国18都市で飲食店と酒蔵がタッグを組み、各店舗でお酒を提供するというものです。日本酒ファンにはおなじみのイベントかもしれません。

松井酒造では昨年、京都の「鉄板とお酒 宗や」さん、岡山の「Bar Transparence」さん、東京浅草橋の「サケストリート」さんでお世話になりました。蔵人が3カ所に分かれ、その日の松井酒造グループLINEはとても賑やかでした。

我々の製品がお届けできていない地域に伺うこともでき、日本酒ファンの皆様に松井酒造「神蔵」を知っていただく貴重な機会になりました。


Sake World Summit in KYOTO

今年の3月30日に京都のみやこめっせで開催されたイベントです。全国60蔵以上から250銘柄が集まり、秘蔵酒や熟成酒、クラフト醸造酒など多様なお酒が並びました。

こちらはリーフさんという京都のタウン情報誌を手掛ける出版社が新規事業として立ち上げたものです。「日本酒を資産に」をテーマにNFTと日本酒を絡めた取り組みも進めており、今後、最注目の日本酒事業だと考えています。


SAKE PARK

SAKE PARK会場

和歌山の銘酒「紀土」で知られる平和酒造さんが中心となって立ち上げたイベントです。松井酒造は昨年秋からお声がけいただき、春で2回目の参加になりました。

渋谷のMIYASHITA PARKで開催されるイベントとあって、若年層の日本酒ファンが多く、会場にもDJブースが入り、おしゃれで格好良い雰囲気です。新しい日本酒ファン層を増やすにはとても大切なイベントだと感じます。

平和酒造の若手社員さんを中心とした運営も素晴らしく、会社組織の在り方についても勉強になります。秋にも4杯目(4回目の意)が開催予定です。関東にお住まいの皆様はぜひ足をお運びください。


CRAFT SAKE WEEK

サッカー元日本代表の中田英寿さんが代表を務めるJAPAN CRAFT SAKE COMPANYさんが主催される日本酒イベントです。東京の六本木ヒルズで、春に約2週間かけて開催されます。

各日のテーマがあり、松井酒造は関西エリアの蔵が集まる日に、昨年に続いて2回目の参加となりました。通常、お酒イベントは週末に開催されることが多いのですが、こちらは平日にも開催されます。平日お昼間からこれだけ集客ができるイベントはなかなかないのではないでしょうか。


太秦映画村江戸酒場

太秦映画村江戸酒場の様子

京都が誇る東映太秦映画村での日本酒イベントです。今年は年に3回開催されています。

このイベントのすごいところは、映画村の役者さんが参加してくださること。江戸の街並みの中でお侍さんや町娘にお酌をしていただきながらいろいろな話を聞くことが出来ます。街の一角では役者さんによるチャンバラが始まることも。また、通常営業が終了した後の開催になるので、あたりが薄暗くなるとまるで江戸時代にタイムスリップしたような感覚を覚えます。きっと江戸の町の人々はこんな雰囲気でお酒を飲んでいたのだろうと想いを馳せることもできます。

そして、映画村さんのリニューアルに伴い、この江戸酒場はなんと常設になるとのこと。京都観光の新しいスポットになりますので、京都にお越しの折にはぜひ、太秦にお越しください。

最後に

我々はイベントに参加するだけなのですが、運営する側はとても大変です。計画から始まり、出展者や関係各所への連絡、設営準備、当日の不測の事態への対応、野外だとお天気の心配もあります。疲れの残る中の片付けに至るまで、気楽に「イベントは楽しいな」と思っているだけの我々とは次元が違う大変さです。

初めてのイベントでは、なかなか対応しきれないことも多いので、温かく見守っていただけると嬉しいです。イベントは回数を重ねていくと洗練されて、より良いものになっていきます。日本酒を愛する気持ちは皆、共通です。

我々のように生産量が少なく、営業に人的リソースを割けない酒蔵にとってはこうしたイベントに出店することは大きな意味があります。日本酒に興味を持っている人々に効果的に訴求することができます。一方、「イベントに来る人はいつも同じだから市場の開拓にはつながらない」という意見を聞くこともあるのですが、何度も足を運んでくださるのはむしろありがたいことだと思います。

松井酒造はこれからも日本酒を通じて、誰かの楽しみでありたいと願っています。イベントで見かけたらぜひ声をかけてください!皆様にお会いできるのを楽しみにしています!

 

【酒蔵だより:松井酒造】

【神蔵】松井酒造 (京都府)のお酒一覧はこちら