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【酒蔵だより:上原酒造】不老泉ファン注目のイベント「初呑み切り」の成り立ちと、コロナ禍での変化

【酒蔵だより:上原酒造】不老泉ファン注目のイベント「初呑み切り」の成り立ちと、コロナ禍での変化

「初呑み切り」の様子

日本酒の酒蔵では、毎年その冬に仕込んだお酒の品質をチェックする「初呑み切り」という行事を開催しています。「不老泉」を造る滋賀県・上原酒造では、毎年この初呑み切りがファンが集う一大イベントとなっていましたが、ここ数年はコロナ禍を受けて開催方法を変更しました。

今回の酒蔵だよりでは、代表の上原 績(うえはら いさお)さんに、コロナ後に変更した呑み切りのシステムによる意外な成果について語っていただきました。

目次

「一般公開」初呑み切りの成り立ち

陳列されている、きき酒用の瓶

上原酒造では、毎年7月下旬に初呑み切りを一般公開しています。初呑み切りとは、冬に仕込んで貯蔵しているお酒の品質をチェックする重要な仕事です。どの蔵元でもおこなわれていることで、国税局の鑑定官を招いておこなっている蔵元も多数あります。

かつて、弊社の初呑み切りは、夏に農業がひと段落しているころに杜氏が来て、蔵の関係者のみでおこなっていました。

それがある年(27~28年前)、弊社のお客さまの日本酒マニアの方が、当時杜氏を務めていた山根杜氏に会いたいと初呑み切りにいらっしゃり、一緒にきき酒をしながらお酒に関していろいろと話をしました。すると、次の年にはその方が知り合いの日本酒マニアの方を連れて来られ、そうするうちに徐々に人数が増えてきて、一日では収まらなくなって土曜日にも開催するようにしたことで、現在の形になりました。

「初呑み切り」の様子

日本酒ファン、飲食店、酒販店の方など、その年の弊社の酒の出来をチェックしに来る熱心な方が多く来場されます。コロナ前は2日間で約300人のお客様がいらっしゃるほどの大きな行事となりました。

当初はただその年のタンク貯蔵のお酒を並べてきき酒しているだけでしたが、一般のお客さまが増えるにつれ、瓶貯蔵している生酒も並べはじめ、さらに販売中の商品も並べはじめるようになり、出品点数は55点以上にもなりました。そうなると一覧表が必要となってきて、一覧表にはアンケートを入れはじめました。

関係者だけではどうしても好みや偏りが出てしまうので、アンケートで多くのお客様からいただく客観的な情報は大変ありがたいもので、毎年のひやおろしのタンクや、瓶貯蔵のお酒の出荷時期を決める参考にするほか、現在販売中の商品の評判も知ることができるなど、とても貴重なものになっています。

コロナ禍での変化と、その副次的効果?

陳列された、きき酒用の酒瓶

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2年もの間、初呑み切りの一般公開は中止とせざる得なくなりました。それから感染もひと段落しはじめた昨年、初呑み切りの一般公開を再開しました。

まだ完全に収束はしておらず、従来通りの開催は難しかったので、開催方法を完全入れ替えの時間制(90分)とし、人数を20名までの事前申し込み制に変更して、出品酒もその年に仕込んだお酒だけに絞るなど、かなり規模を縮小して開催しました。そして今年は感染がかなり落ち着いてきたこともあり、各回の人数を35人に拡大して開催しました。

従来の方法では、多くのお客さまが来ていただけるのはありがたいのですが、中には無料で日本酒が飲める集まりだと勘違いしている人も見受けられ、きき酒なのに吐き出さず、最後には座り込んでしまう人や、真っ直ぐに歩けなくなる人が出る始末でした。ところが、コロナ禍の影響で規模を縮小し、事前申し込み制にしたことで、そうしたお客さまは来なくなり、風紀がずっとよくなりました。出品酒も、人数も少ないため、後続の方を気にせずにゆっくりときき酒でき、気になったお酒を再度きき酒したりと、じっくりと過ごしていただきアンケートもしっかりと書いていただけたおかげで、有益な情報がたくさん得られました。

コロナ禍前は、混雑時にはゆっくりときき酒もできず、きき酒せずに飲んでいるだけの人や、アンケートをまったく書かない人もいましたが、現在の方法でそれらが全て改善されたので、参加の方々からの評判もよくなりました。また、並べられたお酒の残量も大変参考になります。アンケートで評判の良いお酒は、何度もきき酒してもらえるのでもちろんよく減ります。それ以外のお酒でもよく減っているものがあり、興味深い情報として参考にさせていただいています。

今年の人気酒など、アンケート結果についてはFacebookページにまとめていますので、もしご興味があればこちらもご覧ください。

まとめ

「初呑み切り」のアンケート集計用紙

このように初呑み切りは弊社にとって一般のお客さまのご意見をいただく大変貴重な機会です。同様に、お客さまも一般には公開されない初呑み切りに参加することで、自分の評価がひやおろしのタンクの決定や瓶貯蔵の生酒の出荷時期の決定につながるはありがたい体験だというお客様もいらっしゃいます。

これからも初呑み切りは弊社の重要なイベントとして、コロナ禍後に始めた少人数制でのやり方を今後も続けていきたいと思います。

 

【酒蔵だより:上原酒造】

【不老泉】上原酒造(滋賀県)のお酒一覧はこちら

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