【酒蔵だより:森酒造場】飛鸞の梅酒、奈良漬、新商品をレポート

「干す」作業のため、敷き詰められたウリ

初夏から夏にかけては、酒造シーズンのピークも過ぎ、蔵人さんもお休みをとるなど落ち着きはじめる季節。しかし、「飛鸞」を醸す長崎県・森酒造場では、この時期もさまざまな行事がおこなわれています。森酒造場の最近の取り組みについて、同酒造場の女将・森 公子さんが教えてくれました。

目次

自然な甘さの梅酒「HIRAN Plum」の仕込み

5月29日に、500kgの梅が入荷しました。飛鸞の梅酒「HIRAN Plum」の原料です。

梅酒づくりは年に1度のお仕事。梅が入荷すると、昨年6月に仕込んだ梅酒を瓶詰めし、そのタンクに新しい梅酒を仕込みます。

タンクに入った梅

飛鸞の梅酒のこだわりは、なるべく砂糖を使わないこと。そのためにも、焼酎ではなく日本酒に漬けます。飛鸞の日本酒は純米なので、糖類無添加。通常の純米酒に加え、甘味の強い貴醸酒の「責め」の部分を一部に使用することで、添加する砂糖の量を極力減らしています。

梅からあふれ出るクエン酸が際立つ梅酒は、夏の暑い時期に食中酒としてもぴったりです。もちろん梅酒なので甘味はありますが、あくまで爽やかな甘酸。夏バテのときにもおいしく味わっていただけます。

地元農家の育てたウリで作る奈良漬

ウリ農家さんから、奈良漬用のウリが入荷する季節になりました。年々、全国的にウリ農家さんが減少し、昨年はこちらの要望の半分の量しか入りませんでした。

危機感を覚え、ウリを作っている農家さんを探していたところ、平戸でウリを作っても構わないという農家さんと出会うことができました。この農家さんは露地植え(ハウスなどを使わず、屋外の畑で栽培するスタイル)のため、収穫は7~8月ごろです。

ウリは数回にわたって入荷するのですが、いつ入るかわからないので、スタッフ泣かせです。瓶詰めや出荷と重なると、製品課スタッフだけでは足りず、総務もお手伝いすることになります。

1日かけてウリを2つに割り、中の種を取り、塩漬けにします。その2日後、塩漬けにしたウリを水洗いし、干す作業をおこないます。

「干す」作業のため、敷き詰められたウリ

翌日に砂糖を足して、酒粕に漬けていきます。

以前、砂糖を使いたくない一心から、砂糖の代わりに麹を使って実験したことがありました。いい考えではあったのですが、残念なことに、商品としては使うことができませんでした。いずれうまく行けば、革新的な取り組みとなりそうです。

なお、奈良漬の販売は8月お盆ごろから始まります。

いよいよ甑倒し! 飛鸞・夏の新商品

今日、朝一番で郵便局へ出かけると、蔵から湯けむりが。今日も米を蒸してるなぁと思わず写真を撮りましたが、曇っていてうまく撮れませんでした。この蒸し作業は7月末まで続き、甑倒しを迎えますが、皆造(全工程を終える日)は8月中旬になる見込みです。

三季醸造と言って始まった森酒造場ですが、もはやほぼ四季醸造。これができるのも、昨年の夏に大規模な蔵の改修工事を行い、蔵全体に空調を導入したおかげです。どんどん仕上がってくるお酒の仕上がりが、どれも楽しみで仕方ありません。

そんな「飛鸞」の夏酒をご紹介します。

HIRAN Heaven

(SAKE Street注:完売しました)

歴史の教科書でご存じの方も多いとは思いますが、フランシスコ・ザビエルが平戸にキリスト教を布教したことから、キリスト教は平戸藩に富をもたらした一方、禁教時代には悲劇の原因ともなりました。平戸の観光ガイドに必ず載る「寺院と教会の見える坂道」に映る教会は、通称「ザビエル教会」と言われています。

このほかにも数多くの教会が点在している平戸ですが、教会のステンドグラスから差し込む光は天国を意味しているのだとか。そんな平戸の歴史とロマンを感じさせるステンドグラス風のラベルで、今季から飛鸞のラインナップに加わった商品です。

酒質は「日本酒のアクエリアス」。瓶内二次発酵によっておいしくなるように設計されています。

HIRAN Reborn

HIRAN Reborn
(SAKE Street注:少量のみ入荷のため店頭限定販売としています)

6月15日に貴醸酒をリリースしました。

貴醸酒は、日本酒で日本酒を仕込むなんとも贅沢なお酒。国賓などを招く席で、シャンパンではなく日本の國酒で乾杯してもらいたい。そのために贅沢な日本酒を造りたいという想いから、1973年に旧国税庁醸造試験所で開発されたそうです。

貴醸酒というジャンルを好きになってもらいたいという杜氏の想いが込められたお酒。今季は全量無濾過生でお届けしています。

「あさひらん」

7月7日(七夕の日)にリリースします。

使っているお米が「あさひ米」なので「あさひらん」です。原種のあさひ米を無農薬栽培している農家さんとの出会いがきっかけで、この商品が生まれました。全量無農薬米で酒を造りたいという杜氏の目標が込められたお酒。これから平戸で無農薬米が増えていくととてもありがたいなと思います。

これから、台風の季節に入ります。蔵の煙突が吹っ飛んでしまいそうなことも心配ですが、お米が無事に育ってくれることを祈っています。

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