【酒蔵だより:八木酒造部】有機JAS認証を獲得。新商品「山丹正宗 Organic」ってどんな日本酒?

山丹正宗 Organic

SAKE COMPETITION 2024の純米酒部門にて、2つの商品がゴールドメダルを受賞するなど、高い技術がますます評価されている「山丹正宗」醸造元・八木酒造部(愛媛県)。今年は、新商品として、有機JAS認証を受けた「山丹正宗 Organic」を発売します。

なぜ、有機栽培米での酒造りに取り組もうと考えたのか。これまでの山丹正宗とはどんなところが違うのか。八木酒造部8代目蔵元の八木伸樹さんに綴っていただきました。

目次

新商品「山丹正宗 Organic」とは

八木酒造部では、2024年7月8日に、「山丹正宗 Organic」という新商品を発売しました。この「山丹正宗 Organic」は、地元・愛媛県今治市の長尾農園で育てられた有機栽培米を原料に、人工乳酸を添加しない室町時代の製法「水酛」を用いた商品で、自然派日本酒として有機JASの認定を取得しました。

SDGsを意識し、なるべくお米を大切に扱うという観点から、精米歩合は80%にしています。ラベルは、オーガニックコットンを使用した地元の名産品・今治タオルで作りました。天然の乳酸菌由来の爽やかな酸味と、有機栽培によるお米の旨味がしっかり感じられる味わいに仕上がっています。

有機JAS認証を受けた“自然派日本酒”

有機栽培中の田んぼ

近年、「自然派ワイン」を造るワイナリーがどんどん増え、品質も向上してきています。地元のレストランでもよく見かけるようになり、「日本酒にも、いずれそういう流れが来るのだろう」と感じていました。

日本では、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らない食品を認定する「有機JAS認証」という制度があります。しかし、これまでは有機JAS認証というのはお米に与えられるものであり、日本酒そのものは対象外でした。「有機JAS認証のお米を使った日本酒」はあっても、「有機JAS認証を受けた日本酒」はなかったのです。

それが2022年10月から、日本酒でも有機JAS認証が取れることになり、早速、弊社も取得に向けて取り組みました。結果、2023年6月に無事有機JAS認証を取得しました。また、並行してお米の生産者を探していたところ、地元の農家・長尾農園様に有機栽培の松山三井を作っていただけることになりました。

純米造りと水酛で自然な造りを徹底

蒸米を取り出す様子

しかし、せっかく自然派日本酒を名乗るなら、有機栽培米を原料とするだけではなく、徹底的に自然の力を取り入れた商品にしたいと考えました。そこで、①有機栽培米100%使用、②アルコールを添加しない純米造り、③人工乳酸を使用しない酛造り(生酛、山廃、菩提酛、水酛など)の3点を満たしたものを、「自然派日本酒」と定義することにしました。

弊社ではちょうど昨年(2023年)から水酛造りに取り組んでいたので、「山丹正宗 Organic」も水酛を採用することに決めました。

貴重な有機栽培米を余すことなく使うために、弊社では初となる精米歩合80%に挑戦しました。オーガニックコットンを使用した今治タオルのラベルは、剥がしてコースターなどとして再利用することもできます。

今治タオルのラベル

これまでにない「山丹正宗」に

「山丹正宗 Organic」の味わいは、精米歩合80%と水酛造りという組み合わせから予想できることですが、独特の穀物っぽいくせが感じられます。また、酸度が非常に高く、4.0という数値を出しています。

ただ実際に飲んでみると、確かに酸は強いものの決して嫌味には感じられず、爽やかさやまろやかさも感じられる酒質で、これまで弊社に無いタイプのお酒に仕上がっています。少し温めると、さらにまろやかさかぐんと上がり、なんともいえない旨味が感じられます。

ペアリングには、少しくせのあるウォッシュ系のチーズや、乳酸発酵させた食べ物(鮒ずし、漬物)などが合うと思います。

まとめ

有機JAS認証を取得した日本酒「山丹正宗 Organic」は、これからの日本酒業界に「自然派日本酒」の流れを作る第一歩であり、荒削りながらも可能性にあふれたお酒だと確信しています。

これから毎年ブラッシュアップを重ねて洗練させていくので、今しか飲めないその原点を是非ご賞味いただくとともに、これからの成長を見守っていただけると幸いです。

 

【酒蔵だより:八木酒造部】

山丹正宗 Organic


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