【酒蔵だより:松井酒造】ゲームやアニメと日本酒のコラボ可能性

サムネ(カグラ様と蜜葉)

日本が世界に誇る、アニメ、ゲーム、漫画などのコンテンツビジネス。京都・松井酒造では、蔵元である十五代目 松井治右衛門さんが大のゲーム好きとあって、人気イラストレーターや声優とのコラボレーションに積極的に取り組んでいます。今回の酒蔵だよりでは、松井さんに、「神蔵」とコンテンツビジネスとのコラボレーションについてお話してもらいました。

目次

ゲームに恋に落ちた子ども時代

1983年、私が5歳の時に、任天堂からファミコン(ファミリーコンピュータ)が発売されました。友達の家に遊びに行ったときに、友人のお兄さんが、その魔法のような箱で遊んでいるのを見て衝撃を受けたことをよく覚えています。

他の多くの子供たちと同じで、我が家はファミコンを買ってもらえない家でした。遊んでしまって勉強しなくなるから、というよくある理由だったと思います。これはファミコンじゃないからという文理解釈でNECのPCエンジンを買ってもらい、とても嬉しかったことを思い出します。更に交渉を重ね、ようやく買ってもらったのは小学4年生の時。それが私とゲーム機の出会いでした。初めて買ってもらったソフトはPCエンジンでは妖怪道中記で、ファミコンではファイナルファンタジー2でした。

このあたりの影響は今の私の礎になっているのかもしれません。当時は土曜日に学校の授業があったため、土曜日の午後は友達の家に集まってドラゴンクエスト3を遊んだり、人のプレイを見たりしているだけで楽しかったのを覚えています。

世界から愛される日本のアニメやゲーム

漫画家・鈴木理華先生(左)、浅野りん先生(右)のサイン
漫画家・鈴木理華先生(左)、浅野りん先生(右)のサイン

そのころは、ゲームや漫画は子どもの遊びで、大人のカルチャーではないとされていました。ところが、現在その状況は様変わりしています。友人の家に集まり、オレンジジュースを片手に冒険に出かけていた子どもたちは、今や日本酒が似合うおじさんに成長してもゲームを楽しんでいます。そのカルチャーを受け入れられる許容性を現代は持ち合わせているのです。

実際、東京オリンピックの開会式では、各国のプラカードは漫画の吹き出し調に仕立てられていましたし、入場の曲は全てゲーム音楽でした。言葉や世代が違ってもゲームを通じて物語を共有できるので、いろいろな国の人と仲良くなることもできます。

蔵に来る海外からのお客様の中には、日本語を上手に話す方がいます。「どうしてそんなに日本語が上手なんですか」と尋ねると、「日本のアニメが大好きで勉強したんだよ」という答えが返ってきます。

言語を学ぶモチベーションになる産業が他にどれほどあるでしょうか。ゲームやアニメーションは日本が誇るキラーコンテンツですので、酒蔵としてはできる限り良い関係を築いていきたいと思っています。

ゲーム「BUSTAFELLOWS」による「#バスタフェin京都」に参加の様子
ゲーム「BUSTAFELLOWS」による「#バスタフェin京都」に参加

米山舞先生が生み出す神蔵のキャラクター

松井酒造は、3年後の2026年に創業から300周年を迎えます。その節目に酒蔵の代表を務める私は、これからの100年についても考えてきました。大きな一歩を踏み出せたのはアニメーター兼イラストレーターの米山舞先生とのコラボレーションでした。

私はもともと米山先生の単なる一ファンで、いつかご一緒できればと思っている程度でした。ところが、ダメでもともとの気持ちで米山先生に連絡を取ると、信じられないことにキャラクターを描いていただけるということになりました。

「お酒のイメージに合うイラストを描いてほしい」という希望を伝えたところ、しばらくして1枚の絵が送られてきました。想像していた以上に素晴らしく、我々の酒「神蔵」にはこんなに素敵な女神がついてくれているんだと感動しました。

彼女の名前はカグラ様といいます。もともとは私たちの井戸に住んでいた女神様でしたが、お酒好きが高じて今は我々のお酒の女神も兼任しています。

カグラ様(左)、蜜葉(右)
カグラ様(左)、蜜葉(右)

ご縁がご縁を呼び、カグラ様には声優さんが付くことになりました。相羽あいなさんという声優さんで、こちらも「BanG Dream!」の湊友希那役のほか、「けものフレンズ」などの人気作品に出演している実力派声優さんです。相羽さんの声はカグラ様をARアプリ「COCOAR」で撮影すると聞いていただけるので、ぜひお試しください。

実はカグラ様は3姉妹の長女で、三女にはリキュールの妖精、蜜葉(ミツハ)ちゃんがいます。彼女は柚子の里からやってきました。カグラ様と意気投合して以来、ここに住み着いて松井酒造を見守ってくれています。新しいもの好きで、松井酒造のSNS担当になるべく勉強中です。三姉妹ということはもう一人いるのですが、それはまたいずれお知らせしたいと思います。

生活を彩る日本酒とコンテンツビジネス

カグラ様のショッパー

そんなわけで酒蔵併設のお店のショッパーでカグラ様とミツハちゃんをドンっと紹介することにしました。最初のうちは、お酒を買いに来てくださったお客様は戸惑うんじゃないかと心配していたのですが、ふたを開けてみれば喜んでくださるお客様が多く、胸をなでおろしています。

ゲームやアニメの細部に立ち入ると紙幅に限りがあるので、ここで詳らかに語ることはできませんが、直接お会いできたときに、同志の皆様と熱く語り合えればうれしいです。

日本酒は国内市場が縮小傾向で、海外に活路を見出していると前回お話をしましたが、国内市場にもまだまだ成長の余地が残されていると思っています。日本酒は生活を豊かに彩るものです。お料理と日本酒、音楽と日本酒、ゲームと日本酒、アニメと日本酒、映画と日本酒……。毎日の楽しみのひとつに日本酒を選んでいただけるように、これからもいろいろなコラボレーションを進めていきたいと考えています。

 

【酒蔵だより:松井酒造】
2023年8月「中学生の職業体験を受け入れて
2023年10月「京都から世界へ。観光都市の酒蔵として思うこと
2023年11月「ゲームやアニメと日本酒のコラボ可能性
2024年1月「ジン&ラム参入で、日本酒とシナジーを生み出す
2024年3月「『これからの1000年を紡ぐ企業』として、酒造りの伝統と未来を考える

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