シャンパンのようにきめ細かく弾ける泡と、日本酒ならではの米の旨味を両立させた「AWA SAKE(あわさけ)」。食卓を華やかに彩る乾杯のお酒として、また食事とともに楽しめる軽やかなお酒として、いま注目を集めています。
今年も全国の蔵元から新たな認定酒が誕生しました。この記事では、awa酒協会が主催した「第8回認定酒お披露目会」の様子をレポートします。
泡の日本酒が集う、年に一度の特別な会
2025年10月21日、awa酒協会主催による「第8回認定酒お披露目会」が都内で開催されました。
このイベントは、その年に新たに「AWA SAKE」として認定された日本酒を披露し、造り手や関係者が一堂に会する年に一度の特別な機会です。

会場では、新たな認定酒を手に、来場者と蔵元たちが共に乾杯を交わしながら、造りへの想いや泡の質感、味わいの違いなどについて語り合う姿が見られました。
穏やかな熱気に包まれた空間からは、「スパークリング日本酒」というカテゴリーの確かな広がりと、造り手たちの情熱が感じられました。
awa酒協会が目指すもの
2016年にわずか9社でスタートした協会は、現在では全国33の蔵元が加盟。今回新たに3社が認定され、累計で44銘柄のAWA SAKEが誕生しました。
来年は設立10周年という節目を迎え、活動の広がりを感じさせる同協会は、AWA SAKEの品質向上と国際的な認知を目指し、継続的に研鑽を重ねています。
これまでにフランス・シャンパーニュ地方への公式訪問を4度実施し、今年は初めてイタリア・フランチャコルタ協会との交流も実現しました。こうした海外との関わりを通じて、AWA SAKEが世界市場においても評価されるための基盤を築いています。

awa酒協会の理事長であり永井酒造の蔵元・永井則吉氏は、AWA SAKE立ち上げの原点を振り返り、当時、業界内で新しいカテゴリーとしての「乾杯酒」を担うことを託された経緯について語りました。
「業界の中で、“まず乾杯の場にふさわしい日本酒を目指してみてはどうか”と背中を押され、“世界の乾杯酒を目指そう”という理念のもとに立ち上げました。多くの皆さまに支えられて今日に至っていますが、来年10年を迎える今も、まだ通過点にすぎません。これから世界の乾杯酒を目指すには、まだ長い道のりがあると思っています」
協会の歩みと理事長の言葉からは、AWA SAKEが単なる日本酒の一形態ではなく、「日本発の乾杯文化」を世界へ届けようとする挑戦であることが伝わってきます。
「AWA SAKE」とはどんなお酒?
awa酒協会は、瓶内二次発酵による自然な発泡をもつ日本酒を 「AWA SAKE」 と定義し、厳しい基準のもと認定を行っています。原料は「米・米こうじ・水」のみ。人工的に炭酸を加えるのではなく、発酵の力だけで泡を生み出します。
awa酒協会の認定基準は、泡の細かさや持続性、透明度、香味の調和など多岐にわたり、それらをすべて満たした酒だけが「AWA SAKE」として認められます。

シャンパンのような華やかさを持ちながらも、米の旨味と穏やかな酸味が調和する──和食はもちろん、洋食やモダンなフュージョン料理とも相性の良い、新しいスタイルの日本酒です。
今年、新たに仲間入りしたAWA SAKEたち
第8回の認定では、全国各地から3つの蔵元が新たにAWA SAKEとして認定されました。それぞれが異なる個性と表現で「スパークリング日本酒」の魅力を体現しています。

今回の審査・講評を担当したソムリエの田崎真也氏は、各銘柄について次のように評価しました。
高橋商店(福岡県)『SHIGEMASU AWA SAKE』
外観は輝きと透明感があり、プラチナのようなクリスタル感。泡はきめ細かく生き生きとしており、果実や花の香りが華やかに広がります。味わいはまろやかでクリーミー、余韻に果実の香りと酸のフレッシュさが続きます。
おすすめのペアリング: サーモンのカルパッチョ、いちご大福 等
玉乃光酒造(京都府)『オーガニックスパークリング 京の星』
淡いグリーンイエローの色調と長く続く繊細な泡。華やかで清涼感のある香りの中に、果実や花、乳製品を思わせる柔らかさが感じられます。味わいは穏やかで、甘みと酸のバランスが美しい仕上がり。
おすすめのペアリング: 京都の白味噌雑煮、米を使った和スイーツ 等
来福酒造(茨城県)『Raifuku sparkling STELLA NOVA』
米由来の香りに加え、ホイップクリームやモッツァレラチーズを思わせるクリーミーさ。柑橘やりんご、洋梨、オレンジの花の香りが重なり、華やかで立体的です。味わいは柔らかでふくらみがあり、酸味が全体を引き締め、余韻にフレッシュな果実感が残ります。
おすすめのペアリング: 生ハム、和牛のしゃぶしゃぶ 等

どの酒にも造り手のこだわりと挑戦が表れており、泡の質、香り、味わいのいずれにも繊細な個性が感じられました。
広がり続ける、AWA SAKEの未来
AWA SAKEは今、国内外で新たな広がりを見せています。海外では日本を象徴する乾杯酒として、レセプションや公式行事で提供される機会が増え、国内でもホテルやレストランでの採用が進んでいます。
認定酒の発表を通じて、造り手の想いと技術の結晶を感じられるお披露目会となった今回イベント。AWA SAKEの未来への期待が一層高まる一日でした。




































