酒スト角打ちつまみシリーズ第四弾は、居酒屋でも人気の「いぶりがっこクリームチーズ」。
刻んだいぶりがっこにクリームチーズを和えただけのシンプルなおつまみですが、これがとんでもなく美味い。スモーキーでポリポリとした歯ざわりのがっこと、濃厚なチーズのコクが日本酒を無限に呼ぶ。最初に考えた人、天才ですよね。
基本的には、幅広い日本酒と合うつまみではありますが、せっかくなのでさらに精度を上げて考えていきましょう。
いぶりがっこクリームチーズにはどんなお酒が合うのか?
ポイント①甘味が強いお酒は鉄板
まず注目したいのがクリームチーズの「油脂」。脂っぽいものには、甘い日本酒を合わせるというのがセオリーです。
なんなら貴醸酒などでも問題なし。マイルドなチーズの口当たりやコクと日本酒の甘味が混然一体となって、膨らんでいきます。
逆にドライな辛口のお酒だと、チーズがもうひとつ馴染みません。甘味があることで、口の中で全体がまとまってくれるのです。
ポイント②スモーキーには「熟成」が合う
次に、いぶりがっこの「燻香」に寄り添う要素として、酒の熟成感もポイント。燻製の枯れたニュアンスって、若い酒ではなかなか太刀打ちできないんですよね。なんか人間みたいですが。
そんなわけで、古酒・熟成酒ならではの奥行きやスパイシーな香りを合わせることで、燻香とのハーモニーが生まれます。
また、フレッシュなお酒に熟成酒を適宜ブレンドすることで燻香との橋渡しを作ってあげるのも一つの手です。
ポイント③ボディは厚いものを
忘れちゃいけないのが、ボディの厚み・太さ。
このつまみって、シンプルなわりに、味わいのボリュームがあるんです。軽快な酒を合わせると、あっさり流す感じで一応飲めるとはいえ、ちょっとバランスが悪い。そこで、思い切ってゴツくて旨味が強いお酒を選ぶと、全体がまとまってきます。
ただし、完全発酵のドライ系だとイマイチ。先述したように甘味が大きな要素になってきますので、なるべく柔らかくて甘さがあるタイプを選びましょう。

検証中の様子
いぶりがっこクリームチーズに合う日本酒5選
津島屋外伝 純米酒 契約栽培米山田錦
地元岐阜県の契約農家の山田錦で仕込んだ、取り扱い店限定の一本。
とにかく口当たりがマイルド。お米由来のまろやかな甘みとスムーズなうま味がお燗にするとさらに際立ちます。
また、いぶりがっこのわずかな酸味と、このお酒の控えめな酸味が結びついて、新しい表情が生まれます。
燦然 山廃純米 雄町
ふくよかで安定感のある太いうま味。ペアリングの方向性としては津島屋外伝と近いですが、山廃ならではの乳酸感がある分、クリームチーズとの相性はこちらの方が明確に良いです。
ぬる燗にするとさらに柔らかくなり、クリームチーズが口内で溶けていきます。
乳酸感は落ち着きますが、殿堂入りを果たした特別純米 雄町もおすすめ!
楽の世 山廃本醸造 無濾過原酒 (火入れ)
もう一本、山廃系を。
アルコール度数20%のヘヴィで濃醇なお酒。香りは落ち着いており、甘味もボディもがっしり。もったり重たいクリームチーズにぴったり同調します。
さらに、ここに辨天娘などの熟成酒を少量ブレンドすると、熟成香が足されて完璧なペアリングが爆誕。ぜひお燗で試してみてください。
BLACK SWAN II 無濾過原酒
「BLACK SWAN」をさらに「BLACK SWAN」で仕込んだ貴醸酒の火入れバージョン。生よりも香りに落ち着きがあるため、今回はこちらをチョイス。
やはり、甘味は正義。クリームチーズとは最強の相性です。
舞美人 純米酒 MYVY (酒粕再発酵)
舞美人の酒粕を再発酵させたおなじみの変わり種。
これは面白い。酸味が非常に強く、この点ではチーズとあまり同調しないのですが、しっかり甘味もあるので、そこでちゃんとキャッチアップします。
さらに熟成感もあるため、いぶりがっことの相性も抜群。例えるなら、赤ワインとチーズのような関係性かもしれません。
まとめ
いぶりがっこクリームチーズは、幅広いお酒と合わせやすい一方、注意点もあります。
過度にフルーティな香りは燻香とぶつかりがちですし、ある程度の濃醇さがあったほうが、より相性が良くなります。
そして最重要ポイントは、やはり脂肪に合う甘味です。
また、酸味はそこまで重要ではありませんが、ほどほどにあるとチーズといぶりがっこの両方にリンクして、安定したペアリングになります。
ちなみに、本文で熟成酒のブレンドに触れましたが、甘味の足りないお酒に貴醸酒をブレンドしてみるのも面白いですよ。
ぜひ店頭で実際に味わって、自分好みの一杯を見つけてみてください。
【シリーズ:「SAKE Streetの角打ちつまみ」に合う日本酒はコレ!】
- 第1回:「うずらの卵のピクルス」
- 第2回:「きなこ豆」
- 第3回:「しゃくし菜漬け」
- 第4回:「いぶりがっこクリームチーズ」




































