酒スト角打ちつまみシリーズ第五弾は、ピリ辛でインパクト大の「雷こんにゃく」。
甘辛く煮含めたこんにゃくは、味がしっかり染み込み、醤油のコクが前面に出ているのが特徴です。唐辛子が入っているので刺激はあるものの、決して強すぎるわけではなく、むしろ全体を引き締める役回り。とはいえ、辛味が苦手な人は唐辛子を外して食べるのが無難です。
さて、そんな雷こんにゃくにどんな日本酒を合わせるべきか?ポイントを整理していきましょう。
雷こんにゃくにはどんなお酒が合うのか?
ポイント①軽やかなタイプが合う
いろいろな日本酒と合わせてみましたが、結論としては「軽快なタイプ」が一番しっくりきます。
理由は、雷こんにゃく自体の味が思いのほか濃く、中でも醤油の存在感が強いためです。ここに旨味やコクの強い日本酒を合わせると一見同調しそうなものですが、案外そうはならないんですね。どちらも主張しすぎてしまい、全体として重たく、飲み疲れてしまうのです。
このため、なるべく軽めのお酒を選ぶようにしましょう。
ポイント②熟成系も取り入れる
もうひとつ試していただきたいのが、熟成酒や古酒。醤油の風味には、熟成酒の香りがよく合います。実際、やや熟成感のある純米酒を合わせてみると、醤油の香りと日本酒の枯れた香りが心地よく混ざり合い、余韻に深みが生まれます。
ただし、熟成酒はボディや旨味がかなり強いものも多く、雷こんにゃくと組み合わせると味が強すぎると感じることも少なくありません。その場合は、淡麗な酒にごく少量だけ古酒・熟成酒をブレンドして使うのも一つの手です。軽さと深みを両立でき、こんにゃくの新しい一面を引き出してくれます。
どうしても旨味のある酒で楽しみたい場合は、口に含む量を控えめにすればOK。普段の半分くらいをちびちび味わうだけで、酒の旨味が主張しすぎず、醤油味とも同調してくれます。
ポイント③お燗は難しい
この料理、いかにも燗酒と相性が良さそうに思えますが、実はそうでもないのです。温度が上がることで日本酒の旨味、つまりボディが膨らみ、こんにゃくの醤油味とぶつかってしまいます。互いに「自分が主役だ!」と譲らず、味のバランスが崩れがちです。
淡麗なタイプの酒であればまだ許容範囲ですが、迷った場合は冷酒か常温で楽しむのが無難です。

検証中の様子
雷こんにゃくに合う日本酒5選
会津娘 特別本醸造
福島酒らしい軽さとやわらかさで、雷こんにゃくときれいに同調してくれます。良い意味で田舎らしい香りというか、素朴さがあるので、こういった家庭料理とは非常に馴染みがいいんですよね。
会津娘は純米酒も最高ですが、ここはやっぱりアル添の良さを活かした軽めの本醸造でいきましょう。
奥琵琶湖 特選
不老泉の上原酒造さんの地元向け普通酒。これもまたほどよい軽さ。そして、なんといっても古酒がブレンドされているのが最大の特徴。このおかげで醤油との相性もバッチリです。
不老泉 山廃仕込 特別純米 原酒 参年熟成
もう一本、上原酒造さんから不老泉の大定番、山廃参年熟成を。個人的に醤油といえばこのお酒なんですよ。当然、ウリである熟成感が醤油味にフックするんですが、このお酒はそれだけではない独特なクセがあり、それがさらに醤油との相性を高めています。
辨天娘 青ラベル 2023年醸造
5種類の米をブレンドして仕込まれた、辨天娘にしては軽めの一本。ただ、うま味はしっかりあるので、合わせるときに口に含む量はやや控えめがいいかもしれません。
熟成感もごく軽くありますので、さりげなく醤油の香りに寄り添います。
飛鸞 百菓(ひゃっか) 無濾過生原酒
今回の変化球。なんと貴醸酒。これがどういうわけか雷こんにゃくに合うんですね。
いわゆる”甘じょっぱい”味わいになります。例えるならみたらし団子とか、甘辛い煮物なんかをイメージしていただくとわかりやすいかも。
アルコール度数が14度と軽いのも奏功して、この素敵なペアリングが成立しています。
まとめ
雷こんにゃくは、主張の強さと軽やかさが同居した珍しいおつまみ。合わせる日本酒も「余計な主張をしない」比較的軽いタイプ、またはそこにほんのり熟成感を加えるイメージで選ぶのがベストでしょう。
変化球ながら、百果とのペアリングも非常に面白いので、お店で一度試してみてください!
【シリーズ:「SAKE Streetの角打ちつまみ」に合う日本酒はコレ!】
- 第1回:「うずらの卵のピクルス」
- 第2回:「きなこ豆」
- 第3回:「しゃくし菜漬け」
- 第4回:「いぶりがっこクリームチーズ」
- 第5回:「雷こんにゃく」