いつの時代も庶民の味方、安くて美味しいコロッケ。置いていないスーパーやコンビニなんてほとんどないですよね。サクッとした衣の中から現れるホクホクのジャガイモの安心感に、ふわっと心が癒されます。
しかし、コロッケに日本酒を合わせる人はあまり見かけません。いやいや、それはもったいない!実はコロッケと日本酒はかなり合うのです(断言)。コロッケといえばビールやハイボールのイメージが強いので「えー!日本酒?ウソでしょ?」なんて声も聞こえてきそうですが、これからこの意外な組み合わせについて詳しくご紹介していきましょう。
コロッケにはどんなお酒が合うのか?
ポイント①ジャガイモの香りと熟成香
ジャガイモといえば、居酒屋に行けば、ポテトサラダがよくメニューに並んでいますよね。日本酒を飲むからといって頼まないことはないでしょうし、その相性の良さは、多くの方が実感されているのではないでしょうか。つまり、同じジャガイモを使ったコロッケが日本酒に合うのも必然と言えます。
こちらの記事でも言及していますが、ジャガイモの香りの主成分であるメチオナールは、熟成酒にも多く含まれます。さらに面白いことに、このメチオナールは醤油にも含まれています。熟成酒と醤油って非常に好相性なんですよね。感覚的に感じている方も多いんじゃないでしょうか。
このように考えると、ジャガイモと熟成酒の相性の良さも、科学的に裏付けられますね。
ポイント②ソースの存在感を考える
タネの味付けが濃く、ソースが不要なコロッケもありますが、一般的には中濃ソースをかけて食べます。このソースの味わいはかなりペアリングに影響してきます。
まずはスパイシーさ。同じニュアンスを持つ日本酒と言えば、そう、ここでも熟成酒が候補に挙がります。ただしゴリゴリの重たい熟成酒はコロッケが負けてしまうので避けましょう。ボディはほどほどで大丈夫です。
次に特徴的なのは酸味。熟成酒に多い乳酸系の丸い酸味を持ったお酒であれば、ソースの酸味と同調しやすいです。
最近は甘味があってジューシーなお酒が人気ですが、そういったタイプでもソースにフォーカスすれば問題なしです。とはいえ、あまりフレッシュだと若干ちぐはぐになります。開栓して数日置いたくらいのほうが落ち着きが出て、より合わせやすくなるでしょう。
ポイント③甘味は強めのものを
甘味も重要なポイント。揚げ物には甘いお酒というのはセオリーの一つです。辛口のお酒も合わないことはないですが、やはり同調性で劣ります。
なお、甘味が弱くても旨味が強ければ油との相性を補完してくれます。

コロッケに合う日本酒4選
楽の世 山廃純米 無濾過
甘味と酸味、何よりパンチの強さが特徴の個性的なお酒。このお酒自体がソースの役割を果たします。
お燗のほうが、より米のうま味が広がり、ジャガイモのうま味と同調します。さらに油を切ってくれる効果もあるので、意外にすっきりしたペアリングでもあります。
不老泉 山廃仕込 特別純米 原酒 参年熟成
お馴染みの殿堂入り銘柄です。要素としては熟成+甘み+うま味。これだけ合うポイントがあるんですから間違いないですよね。なお、独特の甘い含み香がありますが、これも面白いアクセントになってます。お燗にすると全体的な同調性と油を切る効果が上がります。
Re:vive 空我
次回の殿堂入り間違いなしのクラフトサケ、Re:viveですが、なんでこうもいろんな料理とのペアリング特性が高いんですかね。
今回はまず酸味がソースと同調します。そして中盤のお米感もコロッケの旨味に追随してきます。文句なしですね。お燗でよりまろやかになり一体感が増します。
LIBROM カカオ
これはかなり面白いですよ。カカオを副原料に使ったクラフトサケです。アルコール度数7度とは思えないしっかりした飲みごたえがありますが、オーク樽のウッドチップとカカオが複雑な香りを生み出しているため、お酒自体の味わいと相まって深みを感じさせるのです。
スパイシーなソースに合わせることで複雑な香りが付加されて非常に個性的なペアリングになります。やや甘い味わいも油との相性に寄与しています。
まとめ
自分でも意外だったのですが、今回は思っていた以上に幅広いお酒が無難に合ってしまったので、逆にチョイスで苦労しました。つまり、割と適当に選んでしまっても、大体の酒はそれなりに合うということ。
ちなみに、最近タネが甘い味付けの「関西風」のコロッケをよく目にしますが、それだと若干ペアリングが変わってきますのでご注意ください。今回の検証はあくまで、タネの味付けがシンプルなものになります。
まあ、厳密に何が合うかという話はともかく、とりあえず一度コロッケをアテにして日本酒を飲んでほしいんですよ。日本酒の食中酒としてのポテンシャルを改めて感じられるはずです。その中で、今回の記事が少しでも参考になるのならライター冥利に尽きます。