愛知県蒲郡(がまごおり)で2011年から開催されている「森、道、市場」(以下、森道市場)というイベントがあります。
今年の会場は大塚海浜緑地「ラグーナビーチ」とテーマパーク「ラグナシア」。屋外でおこなわれるライブイベントというと、「フェス」という言葉を思い浮かべるかもしれませんが、森道市場のコンセプトは「市場」。音楽だけではなく、フードやお酒、雑貨などのお店が500店以上集まる巨大イベントです。
そんな楽しそうなイベントになんと日本酒とクラフトサケが出店している! ということで、5月24〜26日に開催された「森、道、市場2024」に参加してきました。本記事では、そのレポートをお届けします!
会場にたどり着くまでもイベントだ!
会場へのルートはいくつかありますが、今回はJR三河大塚駅から向かいました。新幹線だと豊橋駅まで行き、そこからJR東海道本線に乗り換え。豊橋〜三河大塚の乗車時間自体は10分ちょいと短めですが、1時間に一本くらいしか便がないので注意が必要です。
(JR蒲郡駅から有料シャトルバスも出ているようです)
三河大塚駅からは徒歩で20分強かかりますが、すぐに看板が見えてくるうえ、道のりが海の気配に満ちているため、そこまで遠いとは感じませんでした。ヨットの停泊する海の向こうには遊園地の観覧車が。テンションが上がりますね。
事前に購入したチケットをリストバンドに交換するための入場ゲートは二つあります。今回は遊園地の東側にある「EAST ENTRANCE GATE」で購入を証明するスマホ画面を見せ、参加日数ごとに色分けされたリストバンドに交換してもらいました。
なお、一度リストバンドを交換してもらうと、会場のあちこちにある「再入場口」から出入りできるようになります。
ひたすらデカい、「森、道、市場2024」
森道市場の会場は、大きく分けて「遊園地エリア」「海エリア」2つに分かれます。
それぞれのエリアにある店舗数の多さから、その規模感がわかるのではないでしょうか。よければ頑張って日本酒・クラフトサケの店舗がどこにあるか探してみてください。
会場には8つのライブステージがあり、各ステージでアーティストがパフォーマンスを披露します。出演者はChara、くるり岸田繁、大橋トリオ、RHYMESTERなど錚々たる顔ぶれ。3日間通し参加のチケットが1万4400円なのですが(過去はもっと安かったそう)、大好きなお酒や美味しいごはんを味わいながら豪華アーティストたちのライブが聞けるには相当な破格です。
しかし、会場が広すぎる。1000台収容の駐車場がある遊園地を貸し切り、さらにビーチまで使っているのだから当たり前なのですが、初めは自分がどこを歩いているのかがわからずあたふたしました。
また、この遊園地の乗り物、イベント参加者は乗り放題です。観覧車の上から会場全体を見下ろしながらライブ鑑賞なんかもできますよ!
(音は反響してうまく聞き取れません、悪しからず)
遊園地入ってすぐはこんな感じ。写真は二日目(25日)です。いろんなお店が並んでいますが、人が多くて見えない。
橋の向こうにも売店がたくさん並んでいます。Tシャツやアクセサリーなどの雑貨も多い。
台湾料理の麺線がありました。フードはピザやソーセージ、カレーやタイ料理など、バラエティ豊か。全国の人気店も多いので、事前の予習が肝心です。
道路をわたって海エリアへ。ビーチ沿いのお店もお客さんの列でぎっしり!
この熱い空間に、日本酒とクラフトサケがある!
そんな森道市場には、日本酒およびクラフトサケの醸造所も出店しています。
遊園地エリアには福島県の仁井田本家が。お馴染みカエルグッズのほか、豪華賞品が当たるガチャガチャにもチャレンジできます。
女将さんの真樹さんは、ライブ会場にてジャズピアノ演奏も披露! まさに森道市場にぴったりの酒蔵さんですね。
さて、海エリアにはクラフトサケのブースが集まるテントがあります。砂浜のガヤガヤしたところから少し奥まったところに位置しているので、人波も落ち着いています。
秋田県の稲とアガベ。袋麺や酒粕を使った発酵マヨなども販売。
福島県のhaccoba。ミード醸造所「ANTELOPE」や「五味醤油」、アパレルブランド「AlexanderLeeChang」とのコラボ商品が並びます。
ぷくぷく醸造。代表の立川哲之さんが、お客さんに「クラフトビールと日本酒を合わせたようなもの」と説明していたのがとてもわかりやすかったです。
それにしても、さわやかな酸味があり飲みやすいクラフトサケは、天気が良い屋外イベントにぴったり!
なお、ボトルも販売しているので、飲み仲間と一緒に参加すると、その場で持ち寄り飲み会が開催できます。音楽を聞き、風に吹かれながらクラフトサケや日本産ワイン(同じテント下に栃木県のココ・ファーム・ワイナリーがありました)を飲む。贅沢な休暇の過ごし方です。
また、福岡県・LIBROMがコラボしている「いとしまシェアハウス」のブースでは、コラボ商品のクラフトサケや酒粕を使ったジンが販売されていました。
15年経っても続く熱い舞台の裏側
2011年、三ヶ根山ロープウェイ山麓駅跡を会場に始まった森道市場。年を経るごとにアーティストや店舗、参加者が増え、キャパシティが足りなくなったため、2014年からラグーナビーチへ移りました。さらに、2017年には遊園地「ラグナシア」を貸し切り、1日に2万人ほどを動員する巨大イベントにまで成長しました。
ここまでイベントを成長させたのが、責任者の岩瀬貴己さんでした。ところが2021年に、岩瀬さんが急逝。一度は今後の開催がなくなる可能性も浮上しましたが、岩瀬さんの周りの人々が引き継ぎ、現在まで開催を続けています。
生前の岩瀬さん、そして後を引き継いだ人々のインタビューは、森道市場に出店もしていたメディア「ジモコロ」さんに掲載されています。このデカくてアツいイベントにどんな想いが込められているか、読めば毎年行きたくなること間違いなしです。
- ・人気フェス「森、道、市場」の裏側には主催者の「熱狂」があった - イーアイデム「ジモコロ」
- ・「骨を拾い続けている感覚」熱狂のカリスマ亡き後、『森、道、市場』はなぜ開催するのか? - イーアイデム「ジモコロ」
お酒がもっと美味しくなる。森道市場はいいぞ!
日本酒のイベントは全国各地で開催されていますが、出店者が日本酒の酒蔵のみだったり、参加者も日本酒ファンばかりだったりと、広がりが起きにくいという課題があります。
その点、音楽を愛する人やグルメを愛する人たちが集まる場所に日本酒やクラフトサケがあり、多くの人に触れてもらえるのが森道市場。日本酒よりもクラフトサケの出店数のほうが多いのも、新鮮さを感じる要因のひとつでした。
青空の下で海を眺め、潮風と音楽を浴びながらお酒を飲むという体験は、心と体にエネルギーを与えてくれるものです。素敵なイベントがこれからもずっと続いていきますように。この記事を読んで興味を持った方は、来年の5月、会場でぜひ乾杯しましょう!
(ライター:木村咲貴)