サケスト酒が飲める店:第9回「和食日和 おさけと」(日本橋)

「いぶりがっこ 酒粕クリームチーズとともに」と「稲とアガベ 交酒 花風」

東京メトロ「三越前」駅のA9出口階段を上がり、日本橋のビル街を少し進むと、コレド室町の手前に「YUITO」という9階建のビルが現れます。

エントランスの自動ドアを抜け3階まで上がると、仄暗いフロアの一角に浮かび上がる杉玉のモチーフが。2024年3月にオープンした「和食日和 おさけと」日本橋三越前店です。

明るく広々とした店内の中央には、大きなコの字カウンターが鎮座しています。テーブル席のほか、個室も複数あり、総席数は80席。主なターゲット層はビジネス街の接待利用ですが、カウンターがある日本橋三越前店には、「仕事で知ってから個人利用するようになった」というお客さんも多いそう。

大きなコの字カウンター

「『おさけと』は、“東京ビジネス街ローカルチェーン”を名乗っています」と、代表取締役の山口直樹さん。2018年に日本橋店をオープンしてから、神保町や霞ヶ関などのビジネス街に展開し、こちらの日本橋三越前店は8店舗目に当たります。

そんな「おさけと」の一風変わったところが、日本酒とクラフトサケのラインナップ。店舗のあちこちに配置された冷蔵棚には、一升瓶や四合瓶のボトルがずらりと並んでいます。メニューオンしていないお酒も合わせれば、延べ100種類以上にものぼるのだとか。

創業以前から日本酒居酒屋で働いていたという山口さんですが、「自分のお店を開いたら、多店舗展開をして、日本酒の消費量を増やせるようにしたいと思っていました」と語ります。

代表取締役・山口直樹さん
代表取締役・山口直樹さん

種類や好みに縛られず、10店を超える酒販店から、あらゆるタイプの酒類をセレクト。サケストとは、独立開業前に仕事仲間だったという「粋酔処 楽縁」店主・笛木さんの紹介で、オープン当初の2019年から取引をしています。

流輝(松屋酒造)を取り扱っているお店を探していたときに、笛木さんに紹介してもらいました。当店のラインナップの中でも、サケストのお酒はマニアック。変化球を取り入れたいときに活躍しています

冷蔵棚に陳列されたサケスト酒

接待利用では、会席料理のコースを使われることがほとんど。「お酒に合う料理」をコンセプトにしているため、一品目の八寸だけで延々と飲み続けてしまう人も少なくないのだとか。アラカルトメニューには、「今日魚屋さんから届いた鮮魚の盛り合わせ」ほか、旬の食材を使った冷菜、焼き物、揚げ物、珍味などがそろっています。

料理人は会席料理の経験者を採用していますが、例えば初代日本橋店は和洋ミックス、神保町店はより居酒屋らしいアラカルトメニューがそろうなど、店舗によって個性が異なります。

店によって、ポテトサラダのアレンジも違うんです。日本橋三越前店は、いちばんクラシックな王道和食ですね」

この日、おすすめのペアリングをオーダーしたところ、秋田県をテーマに、「いぶりがっこ 酒粕クリームチーズとともに」(950円)と「稲とアガベ 交酒 花風」(90mL950円)を出していただきました。

「いぶりがっこ 酒粕クリームチーズとともに」と「稲とアガベ 交酒 花風」
「いぶりがっこ 酒粕クリームチーズとともに」と「稲とアガベ 交酒 花風」

稲とアガベのファンで、クラウドファンディングで酒蔵まで行ったんですが、クラフトサケはどうしてもグラス単価が高くなってしまうので、お店で提供するのは難しかったんです。飲食店向けに『交酒 花風』を出してくれたおかげで、お出しできるようになってうれしいですね。フルーティで、ガス感もあってスイスイ飲みやすいので、一杯目に出すと喜んでいただけます」

酒粕を練り込んだクリームチーズは、ねっとりとした食感で、繊細な吟醸香がふわりと香ります。甘い香りのせいか、次第にいぶりがっこではなくレーズンなどのドライフルーツを咀嚼しているような気分です。カカオニブのような歯ごたえの正体は、酒粕の米粒。おつまみのような、デザートのような一品で、いつの間にかグラスが空に。慌てて2杯目をオーダーし、あっという間に一合が消えてしまいました。

白杉酒造「Shirakiku ハルヒ」
2杯目には白杉酒造「Shirakiku ハルヒ」をオーダー。

「飲食店で働く人たちの社会的地位を上げていきたい」という理念を掲げる山口さん。スタッフはほとんど全員社員採用で、ビジネス街という立地に合わせて日曜祝日を定休日にしています。

「日本酒は種類が多く、入れ替わりも早いので、週に数日しか勤務できないようでは、お客様に魅力を伝え切るのは難しい。お店には常にスタメンしかいない状態にしています」

「おさけと」という名前の由来は、“料理や人がお酒と共にある空間”から。「これからも店舗は増やしていく予定です」と意気込む山口さん。日本酒の産業を支えようとする熱い想いが、お酒と一緒に過ごせる空間を広げていきます。

店舗情報

店舗外観

和食日和 おさけと日本橋三越前
所在地:東京都中央区日本橋室町2-4-3 YUITO日本橋室町野村ビル3F
電話番号:03-6665-0288
定休日:日曜・祝日

ランチ 11:30〜14:00 (L.O. 13:30)
月〜木 17:00~22:30 (L.O. 21:30)
金曜 17:00〜23:00 (L.O. 22:00)
土曜 17:00~22:00 (L.O. 21:00)
公式ホームページ

CRAFT 稲と忽布 交酒 花風 PROTOTYPE

「いぶりがっこ 酒粕クリームチーズとともに」と一緒にいただいたお酒。

ホップを使用したお酒です。アロエやマスカット、青いバナナを感じたかと思えば洋ナシのような...様々な香りが華やかに感じられます。

口に含むとちりりとした発泡感。グレープフルーツを思わせるような果実感とほろ渋さ。お米のミルキーさとホップの香りが交じり合います。アフターは心地よい苦味が寄り添いドライなキレ心地でバランスよし。ホップ×お米の新しい世界がお楽しみいただけます!

Shirakiku ハルヒ 恋の華 無濾過生原酒

2杯目にいただいた日本酒。

京都酵母の「京の恋」と「京の華」を使用し、一般的なコシヒカリよりもたんぱく質が少ない食用米「春陽」で醸す季節限定酒!

Tライチのような爽やかな果実香。ほんのり白葡萄やアロエのテイストも感じられます。口に含むとしゅわりと繊細なガス感。きゅっと可憐な甘酸っぱさと上品な甘さの余韻。お米のまろい旨味と果実感の織りなす爽やかなジューシーさが広がります。

アルコール度数は12度と低く、軽やかに飲めてしまいます。キリリと冷やして、是非ワイングラスでお楽しみください。

 

【シリーズ:サケスト酒が飲める店】
第1回:「〼kuramae」(蔵前)
第2回:「ぽんしゅビルヂング」(門前仲町)
第3回:「日本酒バー へなちょこ」(西荻窪)
第4回:「きんぼし」(秋葉原)
第5回:「粋酔処 楽縁」(東大前)
第6回:「食べ呑み処 あぐまる」(浅草)
第7回:「都橋おでん 久」(野毛)
第8回:「さかなや なかにし」(板橋)
第9回:「和食日和 おさけと」(日本橋)
第10回:「ふくの鳥」(神田)

(ライター:木村咲貴)