麻婆豆腐に合う日本酒はコレ!おすすめ4選

麻婆豆腐

ピリッとした刺激ととろみのある餡の深いコクがたまらない、中華の大定番、麻婆豆腐。

もともとは四川料理のため、本格派のものはかなり辛くて痺れます。日本酒にとって辛い食べ物は鬼門ですが、日本で一般的に食べられているものはそこまで辛くないですよね。こちらであれば日本酒にもバッチリ!

とはいえ、ペアリングはなかなか想像しづらいとは思いますので、ここで詳しく解説していきます。

検証には日本人の平均的味覚を追求したともいえる、コンビニ(セブンイレブンとファミリーマート)の麻婆豆腐を使わせていただきました。

目次

麻婆豆腐にはどんなお酒が合うのか?

ポイント①軽い酒が合う

麻婆豆腐といえば、パンチの効いた餡で味付けもしっかりしているイメージですが、ここに引っ張られすぎないようにしましょう。

同じように濃い味わいのどっしりしたお酒を合わせてみると、案外お酒の存在感が勝ってしまって、いまひとつ同調しません。

これは豆腐の存在によるところが大きいです。餡はしっかりした味付けでも、淡白な豆腐と一緒に食すことで中和され、口内ではイメージよりも薄味になるのです。

というわけで、意外かもしれませんが、ここはあえてやや軽めのボディのお酒を選ぶと良い結果に繋がりやすくなります。中でも普通酒本醸造酒は、アル添ならではの軽やかさがあるのでおススメです。

ポイント②テクスチャーと辛味を意識する

餡のとろりとしたテクスチャーは見逃せないポイント。

ここに合わせるならば、やはり同じくなめらかなにごり酒がベストです。テクスチャーの同調とともに、濁りが辛味をマスキングしてくれます。インドカレーとラッシーの関係に似てるかもしれないですね。

ただし、にごりは濃い酒が多いので、その点ではチョイスが若干難しいかもしれません。その場合はうすにごりでも悪くないですよ。

ポイント③フルーティなタイプはやや難しい

香りがフルーティなお酒だと少々チグハグになる印象がありました。

日本風の味付けの麻婆豆腐でしたら、香り抑えめで落ち着いたお酒のほうが無難ですね。

ただ、本場四川風の花椒が効いた麻婆豆腐であれば、互いの香りが重なって思いのほか面白い組み合わせになります。

検証に使用した日本酒と麻婆豆腐
検証中の様子

麻婆豆腐に合う日本酒4選

澤の花 辛口純米 花ごころ

キレ味鋭い淡麗辛口の代表格ですが、うま味もしっかりあることは見逃されがち。

さすがに冷酒では麻婆豆腐のパンチに対抗できませんが、ぬる燗くらいまで温度を上げるとぐっとうま味が引き出されて、驚くほどマッチします。

浅間嶽 普通酒(※店頭販売のみ)

浅間嶽 普通酒

柔らかい酒質とすいすい飲めてしまう抜けの良さが魅力の普通酒。やはりこのくらいの軽さでちょうどいいんですね。ふわっと優しい甘味が麻婆豆腐に深みを与え、さらに酸味も弱いため素直に料理と馴染んでくれます。

温度は麻婆豆腐に近づけて、ぬる燗くらいでいただくのがおすすめ。

流輝 純米吟醸 桃色 無ろ過生

次はちょっと変化球を。およそ合わなそうなペアリングですが、なかなかどうして。

考えてみれば、アルコール度数が10%ゆえボディは軽く、うすにごりの柔らかいテクスチャーもあるので、要素としては合って然るべきなんです。キュートなイメージに惑わされてはいけません。

こちらも冷酒よりぬる燗ですね。米の旨味が増して、酸がやや引っ込むのでより同調性が高まります。

LIBROM COLA

これも王道からは外れたペアリングですが、実は最も試してほしい組み合わせです。

麻婆豆腐のスパイス感にコーラのスパイシーなフレーバーが重なり、混然一体となる感覚は特筆もの。なるべく花椒を効かせたタイプの麻婆豆腐のほうが、この複雑な組み合わせをより楽しめます。

ちなみに、LIBROMは全てアルコール度数が低くライトボディなので、そもそも豆腐料理とは相性がいいんです。さらにおりがらみの柔らかい口当たりもペアリングを後押してくれます。

まとめ

スパイス系の居酒屋など、麻婆豆腐に日本酒を合わせて提供する店も増えてきていますね。概ねどっしりした燗酒を採用しているところが多い印象です。

もちろん、それはそれで悪くないんですが、真逆の発想で軽快な酒を試してみたら、むしろこちらのほうが合うではないですか!これは大きな発見でした。騙されたと思って一度お試しください。

 

シリーズ:「中華料理」に合う日本酒はコレ!

酒井辰右衛門さん

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 国際唎酒師 / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。