ホッケに合う日本酒はコレ!おすすめ5選

焼きホッケ

北海道名産のホッケ。開きの塩焼きは、ふっくらとした身に脂がのっていて最高に美味いですよね。じっくり焼けば皮も堪能できます。

焼き魚という時点でいかにも日本酒全般と相性が良さそうですが、意外にどんな酒でも合うわけではありません。より美味しいペアリングのために、どんなタイプを選ぶべきか探っていきましょう。

検証時の調理法はシンプルに開きを焼いただけです。醤油は適宜かけています。

なお、一般に真ホッケとシマホッケの二種類が流通していますが、今回はより脂の多いシマホッケで検証しました。ただ、真ホッケであっても、ペアリングにおいては大差ないものとお考え下さい。

目次

脂にフォーカスする

ホッケをホッケたらしめているもの、それは。あの豊潤な脂が味の決め手といっても過言ではありません。

日本酒とのペアリングにおいても、脂のコクが一番のポイントになります。

淡麗辛口でうま味がスリムなタイプだと、脂に対して同調できず、物足りない味わいになりがちです。このため、ある程度は濃醇でうま味がふくよかな酒を選ぶと良いでしょう。特に山廃などで感じる乳酸系のうま味は脂の風味とよくマッチします。

ただ、塩焼きの魚ですので、全体的な味わいはあくまで淡白です。濃醇な酒だとホッケが負けてしまうのでは?と思うかもしれませんね。でも大丈夫。確かに口に含んだ瞬間は酒が優勢なのですが、あとから脂のコクが追いつき、時間差で同調してくれます。

甘みの強い酒も好相性

肉でも魚でも、脂と日本酒の甘味を組み合わせるのは鉄板のセオリーです。というわけで、甘味の強いタイプを選ぶのもアリ。

なお、甘味の強い酒は、香りがフルーティな場合が多いですが、それほど心配はいりません。案外香りが華やかでもホッケとケンカすることなく馴染んでくれます。少々レモンを搾ればさらに香りのリンクができるので完璧です。

そうそう、レモンと言えば、酸味の強めなジューシー系日本酒は、もう一つホッケと合わせづらいです。しかし、その場合でもレモンを少々かければ一気に距離が縮まります。要は、同じ味わい(酸味)でホッケと日本酒の橋渡しをしてあげる感じですね。

検証中の様子
検証中の様子

燦然 山廃純米 雄町

雄町のどっしりしたうま味と太いボディが魅力の一本。

明らかにホッケに対しては濃醇で、その意味でのバランスは良くないんですが、上でも書いたように後追いでうま味が同調してくれます。この時間差ペアリングはなかなか面白いのでぜひ。

なお、45℃くらいまでゆっくり燗をつけると、全体的に丸みを帯びて柔らかくなり、ホッケの脂とより馴染みやすくなります。

大治郎 生酛純米 渡船六号

質実剛健で、生酛ならではの力強さと素朴さも持ち合わせた酒です。

渡船らしいまろやかなアタックに加え、うま味の乳酸感がホッケの脂とぴったり。濃さもほどほどなので、口の中でスムーズにホッケと並走してくれます。

お燗でさらにポテンシャルを発揮しますので、ぜひ温めてお召し上がりください。

LIBROM COLA

このペアリングは問題作ですよ。

その名の通り、いわゆるクラフトコーラ的な味わいでスパイシーな酒。LIBROMさん、かなり攻めてます。そしてこの酒がホッケと重なることで今までに味わったことのない不思議な世界が広がるのです。

これはもう完全に新しいテイストですね。仲良く手を取り合うというより、ゴリゴリにぶつかり合いながらも、なぜか馴染んでしまう。正直、好き嫌いは分かれると思いますが、チャレンジ精神旺盛な方は試してみる価値ありです!

稲とアガベ DOBUROKU ホップどぶろく01 2021年醸造

どぶろく・にごり系も意外にイケます。柔らかくとろりとしたテクスチャーがホッケの脂のふくよかさとマッチするんですね。また、甘みとうま味が強めなのも奏功しています。

燗にしても美味しい酒ですが、ペアリング的にはバランスが崩れますので冷酒のほうがおすすめです。

ピンポイントでこの銘柄でなくても問題ありません。甘めのにごり・どぶろくであれば代替できます。

天美 純米吟醸 うすにごり 生原酒(桃天)

大人気の通称「桃天」。やわらかいテクスチャーと豊潤な甘みがホッケと良く合います。

今回はぬるめのお燗にしてみましょう。より甘みが増して酸が抑えられるため、ホッケとの相性はグッと上がります。

季節限定なので入手しづらいかもしれませんが、この酒以外でも、やわらかい甘味を持った同じようなタイプのうすにごりであれば、近いペアリングを楽しめます。

まとめ

ホッケの塩焼きに合う酒は、辛口よりは甘口うま味がふっくらしたタイプで、乳酸の強い山廃であればなお良し、といったところでしょうか。

クラシックな辛口が合うんじゃないかと事前予想してましたが、これは裏切られましたね。

場合によっては醤油と大根おろし、レモンを活用し、ご自分で味わいを微調整してください。

ちなみに、ぶっちゃけてしまうと本当の優勝は美寿々 本醸造です。ぬる燗で完璧なマリアージュが発現します。でも殿堂入り銘柄なので、ここでこっそり告白するにとどめておきますね(笑)

酒井 辰右衛門

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 国際唎酒師 / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。