おつまみとしても、おやつとしても人気の柿の種(柿ピー)ですが、その発祥は大正時代だそうです。その後、1966年に亀田製菓が「ピーナッツ入り柿の種」を商品化し、80年代に入ってからアサヒスーパードライのブームもあって一気に定着したそうな。もっと昔からの定番菓子だったのかと思っていたので意外でした。
さて、柿の種(柿ピー)といえばビール。これはもはや不文律です。でも、日本酒ファンとしては、ビールだけをそのポジションに座らせておく気はありません。手軽に食べられるおつまみとして、日本酒とだってバッチリ合わせたい!
そんなわけで、今回は日本酒と柿の種の相性を深掘りしてみました。
検証では、ご存知亀田製菓の柿の種を使用しています。ピーナツも入っているため、柿の種オンリーとは多少味わいが変わることをご了承ください。
柿の種の味わい
わざわざ書くまでもないですが、柿の種は米菓です。あられの一種ですね。香ばしい醤油の風味と、ほどよく効かせた唐辛子の辛さが絶妙のバランスです。
噛んでいると米のうま味が口の中に広がりますが、日本酒とのペアリングではここが最大のポイントになります。つまり日本酒のうま味と同調させるわけですね。
選ぶべき日本酒
最も気にすべきは味わいの濃さ。濃すぎる酒は難しいですが、どちらかといえばしっかりめの純米酒が合わせやすいですね。逆にすっきりした普通酒や本醸造酒、または淡麗辛口系だと柿の種に負けてしまいます。
また、酸味に関しては控えめのほうが上手く調和します。酸がジューシーなタイプはどこか浮いてしまって馴染みが悪いんですよ。
なお、事前の段階ではフルーティな香りがあると邪魔になるかな?と予想していましたが、実際合わせてみるとそうでもなく、香りに関してはほぼ気になりませんでした。フルーティ系が好きな方は酸味とボディの強さだけ気を付けて、まったりした味わいのものを選んでいただくと良いでしょう。
ところで、なぜビールは柿の種と相性がいいのでしょうか。これ、ピリッとした辛味とカリポリの食感が、炭酸のシュワっとした刺激とシンクロすることで美味しく感じるんですね(異論は認めます)。
このパターンを日本酒に活かさない手はありません。はい、スパークリングです。日本酒の場合は、これらテクスチャーの同調に加えて、米同士のうま味が重なって増幅する効果も狙えるので、むしろビールを超えちゃうかもしれません。
燦然 特別純米 雄町
どっしり系で酸味が少ない酒といえば、まず候補に挙がるのがこちら。
ほどよい甘み、雄町のどっしりとしたうま味。ボディの太さも柿の種の味わいとぴったりマッチします。まろやかなピーナツが、これまたいい仕事するんだ。
不老泉 山廃 純米酒 旨燗
燦然と同系統のペアリングです。
不老泉には乳酸の味わいがしっかり感じられる酒が多いのですが、こちらは山廃ながら、そのあたりは控えめ。柔らかく、ふくよかなうま味を楽しめます。
このくらいの濃すぎず軽すぎずな味わいが合わせやすいですね。
不老泉 純米吟醸 活性にごり 生原酒
不老泉のしゅわしゅわスパークリングなフルボディにごりです。
本文でも書いた通り、ビールに倣って炭酸系でテクスチャーを合わせるペアリングです。これは予想通りの大正解。しかも、とろっとしたにごりのテクスチャーがピーナツのまろやかさと合致するというオマケつき。やっぱりテクスチャーが同調すると、ペアリングの楽しさが倍増します。
わかむすめ 牡丹 純米吟醸 無濾過生原酒
マイルド&トロピカル。フルーティで華やかな香りと人懐っこい甘味。雄町由来の重心の低さが、柿の種のうま味と重なります。
フルーティな香り自体が柿の種と融和することはないんですが、これはこれで悪くないんです。決して相性の悪さは感じません。
浅間嶽 無濾過生原酒 (普通酒) 2019年醸造 × 大那あかまる
浅間嶽は5月からの新規取り扱い銘柄です。実はこちら、普通酒で生熟成(2019BY)という大変マニアックなスペック。しかもアルコール度数が19度ゆえ、ボディが太くてめちゃめちゃパンチがあるんです。
生熟成特有のラム酒のような芳醇な香りがナッツと抜群の相性なので、そこから「ピーナツにも合うのでは?」と着想を得たんですが、いかんせんゴツすぎました。こりゃあかん。
そこで登場するのが同じく普通酒の大那あかまる。こちらは対照的に軽くてすっきり。というわけで、浅間嶽と半々でブレンドするとちょうどいい濃さになります。
生熟の香りを活かしつつ、米の旨味も同調する最高のペアリングになりました。ぬるめのお燗にしても香りが立っていい感じですよ!
まとめ
シンプルで手頃なつまみなので、当初は酒もリーズナブルな日常酒がいいかと考えましたが、それだとうま味がちょっと足りない。もう少しボディ感のある純米酒がベターでした。
特段相性がいいわけではないですが、フルーティな生酒なども問題なく合わせられるのは発見でしたね。要は、酸味を避けてうま味の濃さを合わせることです。ぜひお試しください。