寿司に合う日本酒はコレ!おすすめ5選

寿司

ついにこれを検証する日がやって来ました!日本人のソウルフード、寿司。

寿司と言えば日本酒、日本酒と言えば寿司ってくらい、両者は切っても切れない関係です。

これまで何度「寿司に合う日本酒ってなに?」と聞かれたことか。でも、いつも返答に詰まっちゃうんです。ネタがいろいろあるだけに、全てを「寿司」の一括りにしてしまうのはさすがに乱暴だし、かといってネタごとに違う酒をペアリングさせるのも一般の方にとってはハードルが高いですよね。

そんなわけで、今回はどんなネタに対しても平均的に相性のいいお酒をがんばって探してみたいと思います。

目次

寿司にはどんなお酒が合うのか?

検証!“ネタなし寿司”で合わせてみる

さて、平均的に合うお酒を探すにあたっては、まずどのネタにも共通しているものを考える必要があります。答えは簡単、シャリ(酢飯)です。寿司の半分は酢飯ですから、ここを無視するわけにはいきません。

極論ですが、ネタなしの寿司、つまりシャリ(+醤油、わさび)のみで試してみて合うお酒があるのなら、それがほぼ答えになります。

当然、寿司としてはネタが加わることで完成しますが、ペアリングという意味では、ベースのシャリに影響される部分がかなり大きいのです。もちろん100点満点は目指していませんよ。あくまで平均的に合うポイントを探すための、一つの方法論とご理解ください。

ポイント①繊細な味わいに合わせる

寿司は総じて繊細で淡い味わいです。ですから、合わせるお酒も淡麗かつ軽快で線が細いタイプだときれいに同調して、バランスが取りやすいです。

特定名称酒で言えば、純米大吟醸、大吟醸、本醸造、普通酒などは、ボディが軽いものが多いのでアタリをつけやすいですね。

これらの中で、なるべく引き締まったシャープさとミネラル感(五味で言えば若干の苦味・渋み)があるお酒を選ぶとベターです。これは生の魚介類に特有の若干のミネラルっぽさと重なるためで、それによってペアリングの精度が高くなります。

逆に、うま味が膨らむタイプだと、イクラやウニなど濃厚なネタは悪くないですが、全体的には合うネタの幅が狭まります。

検証に使用した寿司と日本酒
検証中の様子

ポイント②フルーティさは控えめなら可

香りに関して、あまりに華美でフルーティだと魚介の生臭さを引き出してしまうので、積極的にはお勧めできませんが、多少であればそこまで気にする必要はありません。

また、わさびをつければ、臭みを消すと同時にフルーティな香りとの相性も良くなります。

ポイント③辛口でなくてもいい

淡麗と言われたら反射的に「辛口」が思い浮かびます。確かに淡麗辛口タイプはおおむね寿司との相性がいいのですが、必ずしも辛口でなくてもかまいません。つまり、甘味、酸味がそれなりにあってもOKということ。

ただの刺身の場合は、甘味や酸味が邪魔をすることもありますが、寿司であれば酢飯の酸味がちゃんとフォローしてくれます。甘味に関しては酸味との相互作用を発揮して、むしろ良い効果を生んでくれます。

それでは、ここまでの条件を考慮に入れつつ、具体的な銘柄をご紹介していきます。

寿司に合う日本酒5選

一歩己 純米吟醸(店頭販売限定)

ほど良くフルーティで繊細、福島のお酒らしいすっきりした味わい。フルーティな香りが邪魔をすることはなく、品良く寿司と絡みます。

どんなネタでもほとんど外すことはなく、全方位的にバランスがいいお酒ですね。

澤の花 純米大吟醸 さら雪 無濾過生原酒

ふわりとした甘味をまとった、まさに“さら雪”のように優美な印象の一本。

精米歩合が低い大吟醸ならではの上品さと軽さで、寿司の邪魔をせず、スムーズに同調してくれます。

風の森 雄町 807

今度は打って変わって80%の低精白。雄町だし、これはさすがに酒が強いかなと思いきや、意外にいいですね。そもそも風の森は低精白であっても、ラムネのような爽やかさとミネラル感が特徴なので、寿司に合うのも納得です。

ボディにそこそこ厚みがあるので、完全な同調はしないんですが、ほのかな甘みがシャリの甘味・酸味とうまく調和してくれます。

なお、他の酒米、または507および657のシリーズでも同様に合わせられますので、このスペックにこだわらなくても大丈夫ですよ!

会津娘 特別本醸造

優しい味わいですっきりと軽いボディ。アル添のいいところをちゃんと引き出したお酒。喉越しがよく、すいすい飲めてしまいます。

骨格がしっかりしているので、寿司と合わせたときにも味がぼやけません。そして、箸休めにガリと合わせるとこれまたいい感じ。

この酒は燗もかなり美味いですが、寿司に合わせるなら、うま味が締まる冷酒~常温がおすすめです。

澤の花 辛口純米 花ごころ

最後に大本命の登場。「辛口のお酒でおすすめは?」と聞かれたら、いつも真っ先にこれをお出しします。淡麗でドライ、透明感のある酒質にほどよくうま味が乗ります。

鯛のような淡白なネタとはきれいに同調して、イクラやサーモンなどこってりしたネタでは、スムーズに並走しながら最後に脂を洗い流してくれます。文句なしの優勝です。

まとめ

というわけで、本醸造、純米(低精白)、純米(辛口)、純米吟醸、純米大吟醸、と異なる5タイプのお酒を紹介しました。

いずれもおおむね共通するのは、淡麗で細身のボディ、なおかつキリっとシャープで硬さのある後味というところですね。

その観点からすると、開けたての新酒などもほんのり苦味やシャープさを感じさせて相性がいいものが多いです。逆にふんわり、ぼんやり、まったり、どっしりしたタイプは寿司とはもうひとつ

ちなみに、フルーティさが悪目立ちする場合は、わさびで調整する他にも、醤油にレモン汁を半々くらいで加えるという手もあります。特に白身や青魚のネタで効果を発揮しますよ。お試しあれ。

酒井 辰右衛門

酒井 辰右衛門

J.S.A. SAKE DIPLOMA / 国際唎酒師 / 日本酒ペアリング研究家

ミュージシャンとして活動する中で、ひょんなことから日本酒に目覚め、一気に沼へ。 現在は日本酒と料理の相性を様々な角度から探るweb「日本酒ぺありんぐ総合研究所」の主宰として日々飲酒に励んでいます。食中酒としての日本酒の可能性を広げるために、およそ合いそうもないエスニックや洋食、スイーツなどとの相性を探るのがライフワークになっています。初心者向け日本酒セミナーの講師としても活動中。