秋酒が商品棚を賑わせているこの時期、酒蔵では今期の造りが始まります。
今回の酒蔵だよりでは、新シーズンを迎えた長崎県 森酒造場の五代目蔵元杜氏の森雄太郎さんが、R6BYの振り返りと近況を綴ってくれました。
ピンチから多くの学びを得たR6BY

振り返るとR6BYは、試練の年でした。乳酸菌混入などの醸造トラブルがあり、これまで知見があるような事例ではなかったので、乳酸菌や酵母などの微生物の生態に着目して、いろんなアプローチを試しました。今まで経験してこなかった苦労が多かった年だったと思います。
こうした一見ネガティブに感じられるトラブルですが、これまでにない事態に対応してきたからこそ、対応力も身につけられました。このような経験は、したくてもできない醸造家もいるでしょうし、この経験を通して、技術力、酒造り、微生物への理解度はさらに深まったと考えています。そういう意味ではポジティブな経験で、今後の酒造りの財産となる重要な年度になったと思っています。予定していなかった新たな面白い商品が生まれたりもして、お客様からリアクションが多くいただけたことも嬉しかったです。
9月8日からは、すでに新シーズンの造りが始まっています。新入社員も2名増え、やる気に満ちた空気感の中で、今シーズンの酒造りが迎えられます。R6BYの教訓はしっかり新入社員にも共有しつつ、失敗を恐れない姿勢を大事にし、スタッフ一丸となって今シーズンの酒造りに望みたいと考えてます。新たな商品、製法を試していく予定で、自社での米づくりもスタートさせます。
呑み鉄本線で紹介されました!

出典:松浦鉄道株式会社
六角精児さんが出演する「呑み鉄本線・日本旅」で、森酒造場が紹介されました。六角さんは、酒造りに詳しく、絞り機の薮田産業もご存知でした。番組内では精米歩合2.5%で醸造した「HIRAN Victoria」開発の苦労話をしましたが、精米後のお米の小ささに驚かれていました。電車の時間の制約があり、滞在時間も限られた中でしたが、長崎県のお米「にこまる」を紹介できてよかったです。
今回、六角さんが乗車していた松浦鉄道には、自分も幼い頃、隣町に遊びに行くときに利用していました。バスほどのサイズしかない1車両編成の電車が走っていて、可愛らしい見た目をしています。車窓から見える桜並木は絶景ですよ。機会があれば、再放送やオンデマンドで見ていただけたら嬉しいです。
旬の食材と相性抜群の「HIRAN 彩道」が発売
9月に発売された「HIRAN 彩道」は、平戸にあるサンセットロードの彩り鮮やかな風景を、お米の旨みの豊富さで表現したお酒です。今季の彩道は、旨みはそのままに、昨年よりも甘みのボリュームを少し乗せた造りにしました。これから美味しくなる秋の味覚にぴったりのお酒に仕上がっています。ぜひ、常温から人肌程度のお燗でお楽しみください!
完熟梨のような瑞々しくリッチな果実感。
九州の最西端、美しい平戸の島には、夕陽が海に沈む絶景が望める「サンセットロード」が点在します。 このお酒は、その幻想的な情景を表現した1本。移りゆく平戸の夕陽を、心ゆくまでお楽しみください。 香りは爽やかで、梨や巨峰を思わせるような果実香、ほのかにメンソール系の香りも感じられます。 口に含むと仄かな発泡感と共に広がる、フレッシュかつまろやかな甘味のアタック。豊かな旨味がふくらみ、味わいの立体感を生み出します。飛鸞らしい心地の良い酸味と、程よい渋さにより、伸びやかかつすっきりとしたフィニッシュ。 冷酒もよいですが、少し温度があがるとよりふくらみのある味わいがお楽しみいただけます。
【酒蔵だより:森酒造場】
2023年・夏「飛鸞の梅酒、奈良漬、新商品をレポート」
2024年・春「蔵開きと夏酒第一弾!」
2025年・春「平戸の風土を表現。蔵付き酵母を通じて目指すこととは」
2025年・秋「試練を乗り越え、財産となった一年を振り返る」