みんな大好き、まぐろの刺身。寿司ネタでも常にトップの人気を誇ります。新年の初競りで「億」を超える値段が付くことを考えると、日本人のまぐろ好きは相当なものと言えるでしょう。
まぐろは単品でも美味しいですが、より引き立たせてくれるのが日本酒!その中でも、どのような日本酒がまぐろにマッチするのかということを解説いたします。
どのような日本酒がまぐろと合うか?
まぐろの特徴として、「生臭さがある」「旨味と酸味が強い」「脂が乗っている」という3点が挙げられます。
もちろん、クロマグロやインドマグロなどの品種による違いや、大トロや赤身などの部位による違い、そして成熟度合などによって特徴は変化しますが、おおむねこれらが特徴と言えるでしょう。
まず一点目の生臭さについてですが、一定以上の強い生臭さは一般的に嫌われます。
生臭さの大きな要因は「トリメチルアミン」というアルカリ性の物質。日本酒には、乳酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸が豊富に含まれており、トリメチルアミンを中和して生臭さを抑える効果があると言われています。
しかし、日本酒にはフルーティーなタイプがありますが、フルーティーさは生臭さを際立たせる効果があります。よって、フルーティさの強い日本酒は敬遠したほうがいいのかもしれません。(※)
(※あくまで一般論です。例えば、筆者は強い生臭さがウェルカムなのでフルーティーなタイプの日本酒とも全然楽しめますが、珍しい存在であることを自覚しております。)
次に、強い旨味と酸味を持った食べ物と合う日本酒を考えてみます。
日本酒と食べ物のペアリングに「同調」という考え方があり、日本酒と合わせたい食べ物の味覚的特徴を揃えると相性が良いことが多いのです。つまり、旨味と酸味を特徴とした日本酒はまぐろと合う可能性が高いということです。
大トロなのか赤身なのか、部位によって大小はありますが、脂の強さもまぐろの特徴です。脂の乗ったものを食べ続けると、やはり口の中が重たくなってしまいます。口の中で感じる脂っこさを軽減してくれる効果に優れたお酒が、シャキっとドライな日本酒。口内の脂っこさを洗い流し、リセットしてくれます。
最後に刺身そのものの特徴からは離れますが、お刺身は醤油につけて食べるのが通常です。その理由は当たり前ですが、醤油が刺身を大いに引き立ててくれるからです。つまり、醤油を思わせるような日本酒も刺身と相性が良いと言えるでしょう。(あいにくSAKE Streetでは醤油のような日本酒の取り扱いはありませんが…)
以上のような観点から、まぐろに合う日本酒をいくつかおすすめさせていただきます。
大倉 山廃純米大吟醸 直汲み 無濾過生原酒
口に含むと広がる優しく力強い旨味と心地よい酸味が、まぐろの持つ旨味・酸味と調和します。また、まぐろの鮮度が良いほど、無濾過生原酒のフレッシュ感とも相乗効果を生み出してくれます。まさにまぐろとの「同調」が楽しめる日本酒です。
大那 超辛口 純米酒 火入れ
ほのかな甘味と十分な旨味が第一印象。その後、バランスの取れた酸味と苦味のコンビネーションでキレ味よくフィニッシュします。まぐろの持つ旨味・酸味と同調的な相性の良さもありつつ、スパッと辛口的なキレの良さで口の中に残存する脂をリフレッシュしてくれます。
燦然 純米 雄町
岡山県の根強いファンを誇る酒米「雄町」を使った、ザ・旨味なお酒。このお酒は冷やさずに、常温~50度くらいの熱燗で召し上がってください。温度を上げると、よりまろやかで甘旨味が強く感じられ、まぐろとの同調効果をより感じることができます。
美寿々 本醸造
全体的な味わいはスッキリ目で、ビンビンに相乗効果を感じるというよりも、食事を邪魔せずそっと寄り添ってくれるというタイプの日本酒です。個人的に後半のキレ味の良さを味わっていただきたいため冷酒で召し上がっていただき、まぐろの濃淳な味わいの残る口の中をリフレッシュしていただく感じで、チビチビと楽しんでいただけたらと思います。
杣の天狗 純米吟醸 うすにごり 生原酒
まろやかな甘味と旨味のボリュームが満点の濃淳な日本酒で、まぐろの濃い旨味・酸味にも負けません。後半の酸味も奥行きを感じさせ、まぐろの持つ味わいと同調して口の中でとろけてくれます。冷酒でも美味しいですが、55度くらいの熱燗にして、よりまろやかな形に仕上げるとさらに同調効果を感じることができます。
まとめ
以上、SAKE Streetからのまぐろに合う日本酒の提案です。旨味、酸味、脂っぽさ、生ぐささと調和できる日本酒がターゲットになるかと思います。
上記でご紹介させていただいた日本酒以外にも、まぐろとマッチする日本酒はたくさんあります。是非、色々な日本酒と試していただけると面白いかと思います!