クラウドファンディングを経て2025年に新蔵を建てた新潟県・阿部酒造。若手蔵人を中心に新しい挑戦を続ける6代目蔵元・阿部裕太さんは、設備や制度を整えることで、クリエイティブに集中できる環境をつくっています。
今回の酒蔵だよりでは、そんな阿部さんに、阿部酒造の女性採用や安全面の取り組みについて綴ってもらいました。
ものづくりに性別は関係ない

阿部酒造では、ものづくりにおいて性別の差をなくしたいと考えています。クリエイティブには男性も女性も関係ない。酒造りをしたい女性がいればいつでも挑戦できる環境にしたい、という思いがありました。
現在、女性の蔵人が3名在籍していて、一人は今年で6年目です。以前の蔵は女性トイレがないなど、女性が働きやすいとは言えない環境でしたが、2025年10月に蔵を新しくしてからは、男性、女性それぞれにトイレと更衣室を完備しています。
誰でも酒造りに参加できる設備を

暖気樽の出し入れに使うクレーン
意識的に「女性が働きやすい工夫」をしているわけではありませんが、どんな人も働きやすい酒蔵を目指しているので、結果的に、重労働をなくす設備投資が女性の負担の軽減につながっていると思います。
具体的には、生酛(酒母)をつくる際の暖気樽の出し入れにクレーンを導入したり、酛すりの作業で溶け具合に差が出ないようにドリルを採用したりしています。いずれは重い荷物の積み下ろしに使えるマッスルスーツも導入したいと思っていますが、順を追って進めていくつもりです。
事故防止対策のための設備も導入しました。転落防止柵も考えましたが、作業性が悪く、結局柵を外して作業をしてしまうため、腰に巻くベルトと安全用のロープをタンク付近に設けています。
クリエイティブを優先した制度づくり

製造量も増え、蔵としても変わるタイミングに来ていると感じているので、もっと仕組みや制度を整えて、阿部酒造をちゃんとした「会社」にしようと思っています。
自分自身はもともとゴリゴリのベンチャーマインドで、「仕事は自然と体に染み込むものだから、とにかく慣れろ」という考え方でした。でも、それでは上手くいきませんでした。
ガツガツと働ける人はそのまま突き進んでいけるのですが、そうでない蔵人は酒造りが面白くなる前に辞めてしまいます。野球部で、ミット磨きの時期に「野球って面白くないな、辞めよう」となってしまう感じに近いかもしれません。
最近は、現代の「働き方」に対する考え方に、少しずつ寄り添うかたちに変えていこうとしています。
その取り組みのひとつとして、土日休みを試してみようと考えています。今は若いメンバーが多いですが、いずれ結婚や子育て、親の介護などで彼らの環境が変わったときに対処がしやすくなると思うからです。
また、酒造業界未経験の人が多い当社の場合、「月曜日にこれをして、火曜日はあれをする」と、曜日ごとに仕事内容を決めたほうが覚えが早いかもしれない、と思ったことも、土日休みの導入を決めるきっかけになりました。
とはいえ、酒造りは職人の世界の仕事であることには変わりないので、「ただ酒を造る仕事」になってしまうのも違うと思っています。そのバランスを見ながら、仕組みや制度で解決できる部分は解決し、「自分で一本の酒を造る」というクリエイティブの最高峰に辿り着けるようにしていきたい。そのために日々、いろいろな試行錯誤をしているところです。
【酒蔵だより:阿部酒造】
- 2026年冬:「新潟でいちばんアツいイベント。蔵人全員で挑む「にいがた酒の陣」」
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- 2026年夏:「日本酒造りに性別は関係ない。誰でも働きやすい環境でクリエイティブの最高峰を目指す」









































