サステナブルなものづくりが求められる現代において、日本酒造りの副産物である酒粕の処理が課題になっています。こうした中、長崎県にある「飛鸞」醸造元の森酒造場では、酒粕の再利用を推進しています。
今回の酒蔵だよりでは、五代目蔵元杜氏の森雄太郎さんが「循環型農業」の実現に向けた、現在の状況と目指す姿を綴ってくれました。
地元農家と実現した酒粕活用

森酒造場では、酒粕の再利用を積極的に進めています。飛鸞の酒粕を食べて育った「飛鸞牛」も、その取り組みのひとつです。はじめは、私たちから農家さんに声掛けをしていたのですが、なかなか協力先が見つからず諦めかけていました。そんな時、若手農家さんから声が掛かり、飛鸞牛のプロジェクトを一緒に始めることになりました。
現在は、平戸の農家さんたちが有志を募って平戸飛鸞牛組合を創設し、地元のお祭りやイベントへの出店や、道の駅などで毎月1回程度の試食販売会を実施しています。5月末におこなった森酒造場の蔵開きにも出店していただきました。ありがたいことに、「飛鸞牛を扱いたい」という飲食店からの声も増えています。
こうした農家さんたちの協力のおかげで、酒粕の再利用率は100%を達成しています。今後は、お酒の生産量が増えるとともに、酒粕の量も増える見込みなので、飛鸞牛のブランド拡大や、蔵で製造している奈良漬以外にも、酒粕アイスなどの新しい食品の製造も進めていく予定です。
これからの飛鸞と平戸

飛鸞アグリ事業部の田んぼの様子
環境保護やサステナブルな酒造りを実現するうえで、米作りから酒造りまでの資源循環は、一番大きな軸になってくると思っています。森酒造場では、「循環型農業」の実現を進めていて、2025年には「飛鸞アグリ事業部」を発足しました。今季から始まった米作りの圃場(ほじょう)にも、有機肥料として酒粕を使用しています。
平戸市には、米作りに理想的な環境がありますが、現在は耕作放棄地になっている地域も少なくありません。取り組みを続けることで、こうした地域を農地として回復させることができれば、平戸の原風景を取り戻し、美しい自然豊かな風景を守ることにも繋がっていくはずです。
平戸の情景を表現した「HIRAN 彩道」が発売
九州の最西端、美しい平戸の島には、夕陽が海に沈む絶景が望める「サンセットロード」が点在しています。「HIRAN 彩道(さいどう)」は“五感を刺激する、平戸のサンセット”をコンセプトに、その幻想的な情景を表現しました。
一口含むと、夕空がオレンジから紫、そして深い紺色へと移り変わるように、香りと味わいが豊かに変化し、飲むほどに多様な表情を見せてくれます。平戸の夕陽のように移りゆく味わいを、心ゆくまでお楽しみください。
情緒を感じるしっとりとした味わい
梨や白ブドウを思わせる果実香にふくよかなミルキーな香りが寄り添います。口に含むと非常になめらかで染み込むようなテクスチャー。柔らかでしっとりとした甘みが優しく伸びていきます。
心地よい酸味が重なり、後半にかけては奥行きのある旨味が続き、余韻長めのフィニッシュ。まさにオレンジ色の夕陽が思い浮かぶような風情のある1本です。
【酒蔵だより:森酒造場】
2023年・夏「飛鸞の梅酒、奈良漬、新商品をレポート」
2024年・春「蔵開きと夏酒第一弾!」
2025年・春「平戸の風土を表現。蔵付き酵母を通じて目指すこととは」
2025年・秋「試練を乗り越え、財産となった一年を振り返る」
2026年・冬「創業130周年「守るために、すべてを変えた」。飛鸞が挑戦を続ける理由」
2026年・春「スタイリッシュなのにわかりやすい。「飛鸞らしさ」を詰め込んだラベルデザインの秘密」
2026年・夏「再利用率100%!酒粕を捨てない飛鸞の酒造りが映す平戸の風景」









































