AI対人間の日本酒カクテル対決三番勝負は、現在一勝一敗。ついに大一番を迎えます。
圧倒的な情報量と創造性を兼ね備えるAI、自ら失敗を重ねた「経験値」を土台に挑む人類、これまでの勝負では、両者その強みを発揮してきました。
最終戦のテーマは、これまた意外な「カカオバター」。トリッキーな材料はどちらに有利に働くのか……決戦のときです。
人類代表、Mr.SAKE2022の山﨑友輔さん
山﨑友輔さん。日本三大銘醸地に数えられる広島・西条に育つ。甲南大学在学中には「日本酒研究会」代表を務める。バーで修業を積んだ後「日本酒カクテル」のプロとして独立。現在は八重洲ミッドタウン「TASU+」他、店舗やイベントなどで日本酒カクテルのレシピ提供・店頭での提供を行っている。2022Mr.SAKE JAPAN。最近ハマっていることは「お酒の味わいを擬人化すること」。飲みの終盤になると特にやりがち。
山﨑さん「第二戦のバトルで、AIにはカクテルの情報はあっても、日本酒カクテルの情報はそう多くないことがわかりました。勝負を決めます!」
最終戦の対戦AI
ケビン・クラーク。彼は独自のスタイルと豊富な知識を持ち、日本酒の世界を広める使命感を持っています。
AIケビン「創造力に富んだレシピや飲み方のアイデアを持っています。彼は独自の視点から日本酒を取り入れてカクテル、他のお酒との組み合わせやユニークなフレーバーの融合を試みることで、新たな楽しみ方をご提案します」
※AIケビンの画像はStable Diffusion、コメントはChatGPT-3で作成しており、若干の違和感もそのままにしています。
あらためてルール説明
- ・AIと人間が1杯ずつカクテルをつくり、美味しさを競う。
- ・AIのレシピは、各回のテーマに沿ってCahtGPT-4で生成する。日本酒は「大那 超辛口 純米酒 火入れ」を使用。
- ・人間が使える材料は、AIのレシピと同じ。日本酒の銘柄は自由。
- ・審査はライターのクリーミー大久保が行う。3戦目なのでだんだん酔ってきている。
勝負テーマ「カカオバターを使った日本酒カクテル」
いよいよ最終戦、テーマは「カカオバター」。馴染みのない材料です。
山﨑さん「これは……難しい。カカオバターを使うカクテルって、あまりないんですよ。それにカカオバターは温めてやっと液体になるもの。冷たいお酒と混ぜた瞬間固まってしまわないか……そこが心配です」
では先攻AIのカクテルからいきましょう。レシピはこちらです!
タイトル「カカオ雪国(Cacao Yukiguni)」
材料:
- ・日本酒 45ml ※本企画では辛口の「大那」を使用
- ・カカオバター(溶かしたもの)15ml
- ・コーヒーリキュール 15ml
- ・ミルク 30ml
- ・氷
- ・カカオパウダー(お好みで)
作り方:
- 1. カクテルシェーカーに氷を入れ、日本酒、溶かしたカカオバター、コーヒーリキュール、ミルクを加えます。
- 2. よく振って、氷を入れたグラスに注ぎます。
- 3. お好みで、カカオパウダーを表面に振りかけて完成です。
コーヒーリキュールとミルク、この2つからは「カルアミルク」っぽい味かもと予想できますが、その結果は……。
見た目はきれいです。しかしよーく見ると、グラス内の上部にカカオバターの「層」があります。では、味わってみます。
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……おいしくない。
まず、液体バターが直接口に入るため、体が拒否反応を起こして「うっ」となります。脂分の後には、苦いコーヒーと、甘味が皆無な日本酒のアルコール感がやってきます。後味は、ただただえぐいです。
AIケビン「カカオ雪国は、カカオバターのまろやかな風味と日本酒の深い味わいが絶妙にマッチしたカクテルです。リッチな味わいで、デザート感覚で楽しむことができます」
黙れケビン。
どうしよう、最終戦でやばいカクテルが誕生してしまいました。
……ここは、観覧席で見学している二戸編集長にもぜひ感想をいただきたいところです。味はいかがでしょうか?
だめだ、編集長が心を閉ざしてしまっている。
早く口をリセットしたいです! 人類代表・友輔さん、カクテルをお願いします!
後攻:カカオバターは「香り」程度に抑え、正反対のアプローチを目指す
人類がAIに勝つ、最後にして最大のチャンスが訪れました。山﨑さんが選んだ日本酒は「Tsuchida 菩提酛」。さすがのチョイスです。濃密な甘味・酸味は、きっとコーヒーやミルクに負けないはず。人類、いっけーーーーー!
材料:
- ・日本酒 60ml ※Tsuchida 菩提酛
- ・カカオバター(溶かしたもの)10ml
- ・コーヒーリキュール 10ml
- ・ミルク 15ml
- ・氷
- ・カカオパウダー(お好みで)
作り方:
- 1. カクテルシェーカーに氷を入れ、日本酒、コーヒーリキュール、ミルクを加えます。
- 2. よく振って、氷を入れたグラスに注ぎます。
- 3. 溶かしたカカオバターを数滴垂らします。
- 4. お好みで、カカオパウダーを表面に振りかけて完成です。
こちらが山﨑さんバージョンの「カカオ雪国」。同じ材料を使っていることもあり、見た目の変化はさほどありません。
山﨑さん「カカオバターは香り付け程度にし、シェイクせずにスプーンで垂らしました。全体の構成は、コーヒーやリキュールを抑え、反対に日本酒を立たせています。AIとアプローチを逆転させた、そんな一杯です」
こちらも飲んでみます。
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……微妙。
確かに、日本酒が前にいます。しかしそれは、AIカクテルで感じたえぐい後味(日本酒由来の部分)がアタックにきただけで、順番が変わった、という感じです。
……どうしようこれ。
だめだ、編集長も固まっている。私がちゃんとジャッジしなければ。
決めました。
結果発表
結果は………………ドロー!ドローです!!
ごめんなさい、どっちもどっちです、このカクテルは。シンプルにおいしくない。
それにせっかくの対決シリーズ、こんな結果で終わるのはあんまりです。延長線をお願いしたいです。
まさかの延長線に突入!
AIと人類の日本酒カクテル三番勝負、なんと延長に突入です。
次こそ本当に最後の最後。決着をつけにいきましょう!
次回、人 VS AI 日本酒カクテル対決 最終戦「ウイスキーを使った日本酒カクテル」です!
※ちなみに、味見をしていたSAKE Streetのぽん店長は「友輔さんのカクテルの方が、分離していない分まとまっていて好きです」とのことでした。
《シリーズ 【AI vs 人間】日本酒カクテル対決! 一覧》
①第一戦「ローズティーを使った日本酒カクテル」
②第二戦「シナモンを使った日本酒カクテル」
③第三戦「カカオバターを使った日本酒カクテル」
④延長最終決戦「ウイスキーを使った日本酒カクテル」
(ライター:大久保)